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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生75巻6号

2011年06月発行

特集 基礎から学ぶ環境衛生

衛生害虫と昆虫媒介感染症

著者: 小林睦生1

所属機関: 1国立感染症研究所昆虫医科学部

ページ範囲:P.452 - P.455

文献概要

はじめに

 蚊によって媒介される感染症には,フィラリア症,マラリア,日本脳炎,デング熱,ウエストナイル熱などが知られている.その中でマラリアは世界で最も患者数が多く,感染症の重点対策を推進すべき疾患としてWHO(世界保健機関)がリストアップしている.

 さて,人類が密閉性の高い材料で住宅を建築することが可能となり,安定した住環境に様々な昆虫やダニが侵入し始めた.その空間は,雨,風から守られ,温度もある程度一定に保たれている.しかし,密閉性は保たれておらず,屋外から種々の昆虫類が侵入することは可能であった.もともと野外で生息していた昆虫類が安定した環境に侵入してきたことから種々問題が生じ始めており,その典型的な例がゴキブリである.人の生活によって生産される廃棄物や汚物がハエ類の誘引源となり,人の臭いや体表から発散する炭酸ガスが雌蚊の吸血行動を惹起する.人の頭髪に寄生して生活するアタマジラミや衣服に寄生するコロモジラミは,人と密接に生活する方法を進化の過程で獲得した.このように,衛生害虫は様々な環境に巧みに適応し,彼らの生態的地位を確立したのである.

参考文献

1) 松田 肇・藤盛孝博(監修),小林睦生:消化器における感染症・寄生虫症.分担,2章7消化器感染症における昆虫の関与,pp222(分担pp34-38),新興医学出版社,1998
(Diptera:Culicidae)in Japan by geographical information system. Journal of Medical Entomology 39:1-11, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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