文献詳細
特集 基礎から学ぶ環境衛生
文献概要
はじめに
人の健康と安全を損なう有害な昆虫等を衛生害虫と称し,公衆衛生学や衛生行政では,ねずみ族と合わせて「ねずみ・衛生害虫」もしくは,「そ族昆虫等」と表す場合が多い.
過去においては,感染症を媒介するハエやカ,シラミ,ノミ,ねずみ等がその代表的なものであったが,現在では,その存在が不快であるなどの精神的要素も入り込み,近年では様々な害虫を対象として,地域住民からの相談を保健所等で受けることが多くなってきている.
わが国は,戦後の一時期からすると,下水道の整備や汲み取り便所の水洗化,ゴミ収集運搬・処分等の改善,衛生教育の推進などにより,生活における衛生環境は格段に向上し,併せて有害な害虫も激減してきた.
しかしその一方で,社会状況の変化に伴い,新たな問題が発生してきている.外の人の力を借りなければ自らの生活や自立が困難な,社会的弱者とされる高齢者や子ども・障害者・路上生活者,生活保護を受ける者などを対象とした,ねずみや衛生害虫に関する相談の増加である.
本稿では,このような「ねずみ・衛生害虫」に関わる新たな問題について,実態とともに考察していくこととする.
人の健康と安全を損なう有害な昆虫等を衛生害虫と称し,公衆衛生学や衛生行政では,ねずみ族と合わせて「ねずみ・衛生害虫」もしくは,「そ族昆虫等」と表す場合が多い.
過去においては,感染症を媒介するハエやカ,シラミ,ノミ,ねずみ等がその代表的なものであったが,現在では,その存在が不快であるなどの精神的要素も入り込み,近年では様々な害虫を対象として,地域住民からの相談を保健所等で受けることが多くなってきている.
わが国は,戦後の一時期からすると,下水道の整備や汲み取り便所の水洗化,ゴミ収集運搬・処分等の改善,衛生教育の推進などにより,生活における衛生環境は格段に向上し,併せて有害な害虫も激減してきた.
しかしその一方で,社会状況の変化に伴い,新たな問題が発生してきている.外の人の力を借りなければ自らの生活や自立が困難な,社会的弱者とされる高齢者や子ども・障害者・路上生活者,生活保護を受ける者などを対象とした,ねずみや衛生害虫に関する相談の増加である.
本稿では,このような「ねずみ・衛生害虫」に関わる新たな問題について,実態とともに考察していくこととする.
参考文献
1) 関なおみ,他:東京都の路上生活者におけるコロモジラミ症の再興.衛生動物54:81-87, 2003
2) 森川すいめい,他:国立病院機構久里浜アルコール症センターによる路上生活者に対するアンケート調査,2009
3) 牧上久仁子:集団発生のみかたと対策―公衆衛生学の視点から.南光弘子(編):疥癬対策パーフェクトガイド,pp180-198,秀潤社,2008
検出.IASR 31:354-355, 2010
5) 矢口昇,他:東京都におけるトコジラミ被害の実態と問題点.衛生動物61:231-237,2010
6) 富田隆史,他:トコジラミの殺虫剤抵抗性.衛生動物61:223-229, 2010
掲載誌情報