icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生75巻7号

2011年07月発行

文献概要

映画の時間

―このちいさな命を救いたい.大切なことは何かを教えてくれる希望の物語―いのちの子ども

著者: 桜山豊夫

所属機関:

ページ範囲:P.537 - P.537

文献購入ページに移動
 イスラエルとの紛争下にあるパレスチナのガザ地区で生まれた,生後4か月半になるムハンマドは,先天性免疫不全症候群に罹っています.病状が重くなり,母親ライーダとともに,ガザに隣接するイスラエルのテルハショメール医療センターに搬送されました.映画は,ジャーナリストでもあるエルダール監督が,この医療センターを訪ねる場面から始まります.監督自らが担当するナレーションにより,親子の置かれている状況がわかってきます.

 ガザ地区の住民はイスラエルに入国することは原則として許可されず,例外的に,重病のために治療を必要とする場合だけは,イスラエル側の医療センターに入院することが許されています.免疫不全のため陽圧の無菌室に入院しているムハンマドですが,主治医のソメフ医師は早急な骨髄移植が必要と考えています.しかし,貧しいガザ地区の住民であるムハンマドの家族には,医療費を工面することはできません.他に有効な治療法はなく,骨髄移植を行わないのであれば,ムハンマドはガザ地区に帰らなければなりません.それは彼の死を意味します.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら