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文献概要
沈思黙考
被災地にて
著者: 林謙治1
所属機関: 1国立保健医療科学院
ページ範囲:P.644 - P.644
文献購入ページに移動かつて町中と思われる一角に人工的に土を盛った3mほどの小高い丘があった.コンクリートの階段を昇って見渡すと,辺り一面荒涼とした風景である.丘の上は40m2程度の長方形の狭いところで,角にもともと戦死者の記念碑が建っており,碑のほかに今回の災害で亡くなった方々を悼む木板や花が周囲を巡るように供えられていた.そのなかに子どもが書いたと思われる字句や絵があり,よけいに痛ましく感じられた.聞くところによると津波が襲ってきたとき,近所の方々はこの丘の上に避難し,それでも足が水に20~30cmも浸かったそうである.さぞかし心もとなかっただろう.
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