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特集 分権型社会における公衆衛生の課題―現場知と専門知の保証
文献概要
本稿では,「分権型社会における公衆衛生」という課題に対し,なにがしかの基礎的視座を提供するとの観点から,英国における近代的地方自治制度を対象に,その形成過程を追いながら,この国の公衆衛生の成立を支えた制度上の特徴を概観していくことにする注1).
参考文献
1) 以下については,さしあたり,岡田章宏:近代イギリス地方自治制の形成.桜井書店,2005,参照.
2) 以下に見る「住民自治」的特質は,サッチャー政権が現れる1980年代まで,概ね維持されてきたと見ることができる.それ以降断続的に進行する改革のなかで,この特質も大きく変容しつつあるが,そのなかにあっても,近代的な枠組みが常に発想の起点に置かれ,最近では「再生」の道を探る試みすら現れている点には注意したい.岡田章宏:現代イギリス地方自治の歴史的脈絡―近代的地方自治制度の「解体」と「再生」.法律時報80(8):69-75, 2009
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