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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生75巻9号

2011年09月発行

文献概要

特別寄稿 公衆衛生のアイデンティティを求めて・2

公衆衛生学の分化と統合をめぐって

著者: 實成文彦12

所属機関: 1山陽学園大学 2日本公衆衛生学会

ページ範囲:P.710 - P.716

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公衆衛生とコミュニティ

 公衆衛生(Public Health)の代表的定義として用いられるウインスローの定義では,人々が日常生活を営むコミュニティにおいて,組織的に健康を維持・増進することを中心的課題としている.人々が生まれ育ち,生活し,教育を受け,事業・生産活動を営み,やがて老いていく基本的場がコミュニティ(地域社会)であるが,健康を維持・増進することも,害するのも,また保健医療福祉活動の具体的な種々のケアやサービスを受けるのも,このコミュニティにおいてである.

 疫学・人間生態学的な視点で言うと,コミュニティは共同社会として種々の人々が様々な価値観や目的を持って暮らしており,自然環境や社会的環境の影響を受け,また自らの心理・意識・行動や生活習慣とも相俟って,種々の健康事象を呈する.コミュニティに存在するアソシエーション(機能集団)である学校や職域・事業所を始めとして,保健医療福祉資源(専門職・施設・機関等)やその他の社会資源も,心理および社会・環境要因として,人々の健康に様々な影響を及ぼす.

参考文献

1) 實成文彦:公衆衛生のアイデンティティを求めて(1)公衆衛生とは何だろう.公衆衛生75(8)578-584,2011
2) 實成文彦:公衆衛生における人材育成の必要性.保健の科学49(4):228-232, 2007
3) 實成文彦:社会の中の学校保健―学校保健における公衆衛生学的接近.学校保健研究48:473-477, 2007
4) 實成文彦:「健康をまもる社会基盤の再構築」と公衆衛生の課題,学会の役割.車谷典男,實成文彦(編):健康をまもる社会基盤の再構築―その糸口はどこか.pp57-76,日本公衆衛生協会,2010
5) 實成文彦:公衆衛生の新しい潮流と公衆衛生看護学への期待―分析し,統合せよ,そして社会に役立てよ.保健の科学53(6):364-375,2011
6) 實成文彦:公衆衛生の課題と展望.第77回日本衛生学会シンポジウム討論会;21世紀社会医学研究のめざすもの.2006年4月,大阪
7) 實成文彦:公衆衛生の過去,現在,未来.四国公衆衛生学会雑誌54(1):11-14,2009
8) 實成文彦:2001年,新世紀の出発点にたって―公衆衛生の過去,現在,未来.日本公衛誌48(10)特別付録:41-46,2001
9) 原田規章:健康危機兆候の早期把握の重要性と今後の対応―公衆衛生モニタリング・レポート委員会の活動から.公衆衛生75(7):510-514,2001
10) 日本公衆衛生学会公衆衛生モニタリング・レポート委員会:公衆衛生モニタリング・レポート(1)経済変動期の自殺対策のあり方について.日本公衛誌57(5):415-418,2010
11) 日本公衆衛生学会公衆衛生モニタリング・レポート委員会:公衆衛生モニタリング・レポート(2)食品危機事前対応に関する提言.日本公衛誌57(12):1098-1100,2010
12) 日本公衆衛生学会公衆衛生モニタリング・レポート委員会:公衆衛生モニタリング・レポート(3)子どもの健康と社会格差;低出生体重の健康影響.日本公衛誌58(3):212-215,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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