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特集 糖尿病の今
わが国における糖尿病の現状と改善目標
著者: 西信雄1
所属機関: 1独立行政法人国立健康・栄養研究所国際産学連携センター
ページ範囲:P.758 - P.761
文献購入ページに移動世界では,2008年の25歳以上の成人における糖尿病[空腹時血糖値が7.0mmol/l(126mg/dl)以上,糖尿病と診断された者あるいは糖尿病の治療中の者]の有病率が男性9.8%,女性9.2%と推計されており,1980年の推計値の男性8.3%,女性7.5%から男女とも増加している1).糖尿病による死亡の80%以上は,低所得国あるいは中所得国で起きており,2005年から2030年の間で糖尿病死亡者数は倍増すると予測されている2).
糖尿病は心疾患や脳血管疾患の危険因子であるとともに,人口の高齢化にともない患者数あるいは医療費の増加を招く.現在わが国の糖尿病の患者数は237万人(平成20年患者調査),糖尿病の医療費は1兆1,854億円(平成21年度国民医療費)であり,その対策は公衆衛生上の重要な課題である.
糖尿病の実態を見る疫学的な指標としては死亡率や有病率があるが,死亡率(平成21年人口動態統計,人口10万対)は総数で11.1,男性12.1,女性10.2であり,全死亡に占める割合は1.2%程度である.このことから,糖尿病に関する年次推移を見る際に,死亡率はあまり適切な指標ではない.
そこで本稿では,糖尿病実態調査ならびに国民健康・栄養調査から得られた有病率を中心に述べ,これに基づいた国の改善目標について紹介することとする.
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