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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生76巻10号

2012年10月発行

文献概要

特集 糖尿病の今

わが国における糖尿病の現状と改善目標

著者: 西信雄1

所属機関: 1独立行政法人国立健康・栄養研究所国際産学連携センター

ページ範囲:P.758 - P.761

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はじめに

 世界では,2008年の25歳以上の成人における糖尿病[空腹時血糖値が7.0mmol/l(126mg/dl)以上,糖尿病と診断された者あるいは糖尿病の治療中の者]の有病率が男性9.8%,女性9.2%と推計されており,1980年の推計値の男性8.3%,女性7.5%から男女とも増加している1).糖尿病による死亡の80%以上は,低所得国あるいは中所得国で起きており,2005年から2030年の間で糖尿病死亡者数は倍増すると予測されている2)

 糖尿病は心疾患や脳血管疾患の危険因子であるとともに,人口の高齢化にともない患者数あるいは医療費の増加を招く.現在わが国の糖尿病の患者数は237万人(平成20年患者調査),糖尿病の医療費は1兆1,854億円(平成21年度国民医療費)であり,その対策は公衆衛生上の重要な課題である.

 糖尿病の実態を見る疫学的な指標としては死亡率や有病率があるが,死亡率(平成21年人口動態統計,人口10万対)は総数で11.1,男性12.1,女性10.2であり,全死亡に占める割合は1.2%程度である.このことから,糖尿病に関する年次推移を見る際に,死亡率はあまり適切な指標ではない.

 そこで本稿では,糖尿病実態調査ならびに国民健康・栄養調査から得られた有病率を中心に述べ,これに基づいた国の改善目標について紹介することとする.

参考文献

1) Danaei G, et al.:National, regional, and global trends in fasting plasma glucose and diabetes prevalence since 1980;systematic analysis of health examination surveys and epidemiological studies with 370 country-years and 2.7 million participants. Lancet 378:31-40, 2011
2) World Health Organization:Diabetes fact sheet No. 312. August 2011 http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs312/en/index.html(2012年4月26日閲覧)
3) 国民健康・栄養の現状―平成19年厚生労働省国民健康・栄養調査報告より.第一出版,2010
4) 健康日本21評価作業チーム:「健康日本21」最終評価,2011 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001r5gc-att/2r9852000001r5np.pdf
5) 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会,次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会:健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料.平成24年7月

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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