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原著
子宮頸がん検診の無料クーポン券配布および未受診者への受診再勧奨の効果:コール・リコール制度の試み
著者: 伊藤ゆり1 北尾淑恵2 中山富雄1 渋谷大助3
所属機関: 1大阪府立成人病センターがん予防情報センター 2池田市保健福祉部健康増進課 3宮城県対がん協会がん検診センター
ページ範囲:P.827 - P.832
文献購入ページに移動方法:無料クーポン対象者のうち,平成21年度は30歳と40歳で子宮頸がん検診未受診の1,375名,平成22年度は25歳と35歳で未受診者の1,201名に受診再勧奨のリーフレットを郵送した.無料クーポン配布(call)と受診再勧奨(recall)の効果を推定するために,各年齢グループにおける平成20~22年度の受診率の変化をモニタリングした.20歳はもともと受診率が低く,再勧奨の効率が悪いため,対象外とした.
結果:クーポン対象者の合計の受診率は平成20年度(無料クーポン券配布の前年度)では,11.1%であったが,平成21年度には32.7%,平成22年度では34.3%に増加した.無料クーポンおよび再勧奨を行った年齢層(平成21年度は30,40歳,平成22年度では25,35歳)では,平成20年度の受診率12.5%から平成21年度は40.4%,平成22年度は41.0%と大きく向上した.無料クーポンのみの年齢層(平成21年度は25,35歳,平成22年度では30,40歳)では,受診率は順に11.8%,32.2%,33.6%と向上した.そこで,無料クーポン群では約20%,無料クーポン+再勧奨群では約28%の向上が観測されたため,無料クーポンによる効果を20%,受診再勧奨による上乗せ効果を8%と推定した.
結論:平成21~22年度の女性特有のがん検診推進事業を活用した大阪府池田市における一部の年齢に対してのコール・リコールの試みは,効果的であった.住民対象のがん検診受診率を向上させるために,効果的かつ持続可能性のある組織型検診のシステムを構築する必要がある.また,対象年齢や頻度を明確にした上での検診の無料化や,コール・リコール・システムは不可欠である.
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