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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生76巻11号

2012年11月発行

文献概要

特集 スクリーニング―その進化と課題

新生児マススクリーニングの新たな展開―タンデムマス法の導入

著者: 山口清次1

所属機関: 1島根大学医学部小児科

ページ範囲:P.853 - P.857

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はじめに

 新生児マススクリーニング(以下,新生児MS)は,知らずに放置すると障害の起こる先天性疾患を発症前に見つけて,障害を予防(または軽減)する事業である.

 1950年代にフェニルケトン尿症の治療ミルクが開発され,1960年代にガスリーテストが発明されて以来,新生児MSによって障害を予防するという考え方が急速に広まった1,2)

 最近,タンデムマス法という新しい検査法を導入して対象疾患を拡大する動き(拡大スクリーニング)が,世界的に普及しつつある3,4).わが国でも2011年に「タンデムマス法の導入の推進」について厚生労働省課長通達が出され,現在全国自治体に広がりつつある.そこで,わが国のタンデムマス法導入による新生児MSの新しい展開と今後の課題について述べたい.

参考文献

1) 成瀬浩,山口清次:新生児スクリーニングの30年.臨床精神医学33:1453-1460, 2004
2) Dhondt JL:Neonatal screening;from the ‘Guthrie age' to the ‘genetic age'. J Inherit Metab Dis 30:418-422, 2007
3) McCabe LL, McCabe ER:Expanded newborn screening;implications for genomic medicine. Annual Review of Medicine 59:163-175, 2008
4) 山口清次:タンデムマスを導入した新生児マススクリーニングの新時代.小児保健研究65:725-732, 2006
5) 重松陽介,他:Electrospray tandem mass spectrometryによる有機酸およびアミノ酸代謝異常症の新生児マススクリーニング.日本マス・スクリーニング学会誌18:13-20, 1998
6) Shigematsu Y, at al.:Newborn mass screening and selective screening using electrospray tandem mass spectrometry in Japan. J Chromat B 776:39-48, 2002
7) Wilson JMG, Jungner G:Principles and practice of screening for disease. p163, World Health Organization, Geneva, 1968
8) 山口清次:タンデムマス等の新技術を導入した新しい新生児マススクリーニング体制の確立に関する研究.厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)平成23年度報告書,2012
9) 大日康史,菅原民枝:MS/MSマススクリーニングの費用対効果の予防接種との比較および国際比較.厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)「タンデムマス等の新技術を導入した新しい新生児マススクリーニング体制の確立に関する研究」平成22年度報告書,pp123-125, 2011
10) 青木継稔,他:将来マス・スクリーニングに取りあげられる可能性の高い疾患について.小児科診療63:1385-1390, 2000
11) 中川紀子,他:TRECs定量を用いた重症複合型免疫不全症に対する新生児マススクリーニング法の開発.日本マス・スクリーニング学会誌19:249-253, 2009
12) 田中あけみ:ムコ多糖症のマス・スクリーニング.日本マス・スクリーニング学会誌18:224-228, 2008
13) 古谷野伸,他:先天性サイトメガロウイルス感染マススクリーニングについて.日本マス・スクリーニング学会誌21:9-14, 2011
14) 山口清次:タンデムマス導入による拡大スクリーニングの諸問題.日本先天代謝異常学会雑誌27(1):36-41, 2011
15) 松田一郎:新生児スクリーニングに関する倫理的,法的,社会的問題の歴史的背景.日本マス・スクリーニング学会誌19:189-215, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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