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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生76巻11号

2012年11月発行

文献概要

連載 講座/健康で持続的な働き甲斐のある労働へ─新しい仕組みをつくろう・8

職場のメンタルヘルスの現状と課題―わが国の課題と国際的動向の分析

著者: 川上憲人1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野

ページ範囲:P.896 - P.899

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 職場のメンタルヘルスを取り巻く様々な状況を,国内および国際動向の両面から概観し,わが国の職場のメンタルヘルスの課題を整理した.国内では,経営・組織要因のメンタルヘルスへの影響,不安定雇用労働者のメンタルヘルス,増加するメンタルヘルス不調者の職場復帰の支援が課題として挙げられた.国際動向としては,職業性ストレス対策の欧州枠組みに見られる職場のメンタルヘルスにおけるPDCAサイクル(plan-do-check-act cycle)の重要性と,英国国立医療技術評価機構のガイドラインが推奨するポジティブなメンタルヘルスを目指した取り組み,オランダの科学的根拠に基づく復職支援プログラムが重要と思われた.国際的動向と調和させながら,わが国における職場のメンタルヘルス対策の新しい枠組みを考えるべき時期にある.

参考文献

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2) 労働者健康福祉機構大阪産業保健推進センター:「休職からの職場復帰体制の現実と課題」調査研究報告書,2006 http://www.osakasanpo.jp/research/h18.pdf
3) 内閣府:平成19年版国民生活白書.pp127-132,2007 http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h19/01_honpen/index.html(最終アクセス日2012/8/25)
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13) 時田征人,川上憲人:メンタルヘルス不調により休業した労働者への復職支援;オランダにおける効果評価研究.産業医学ジャーナル35(2):108-110,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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