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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生76巻12号

2012年12月発行

文献概要

特集 原子力災害と公衆衛生

緊急被ばく医療体制の課題と放射線防護

著者: 神谷研二12 谷川攻一23 細井義夫12

所属機関: 1広島大学原爆放射線医科学研究所 2広島大学緊急被ばく医療推進センター 3広島大学医歯薬保健学研究院

ページ範囲:P.944 - P.950

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はじめに

 2011年3月11日に起きた東日本大震災は,自然災害が原子力災害を誘発することで人類が初めて経験する巨大複合災害に進展した.東京電力福島第一原子力発電所事故(以下,福島原発事故)では,大量の放射性物質が環境中に放出され,INES(国際原子力事象評価尺度)評価でチェルノブイリ原子力発電所事故と並ぶレベル7と評価される最悪の事態となった.今回の災害は,複合災害ゆえに生じた多くの課題を明らかにしたが,緊急被ばく医療体制においても効果的に機能した部分と,再検討を要する部分が明らかとなった.

 本稿では,緊急被ばく医療体制の課題を述べると共に,原子力安全委員会で議論が行われた原子力施設等の防災対策の見直しについて,被ばく医療に関連する事項を紹介する1)

参考文献

1) 原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会防災指針検討ワーキンググループ:「原子力施設等の防災対策について」の見直しに関する考え方について(中間とりまとめ).平成24年3月22日  http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/anzen/shidai/genan2012/genan014/siryo2.pdf
2) 原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会:緊急被ばく医療のあり方について.平成20年10月一部改訂
3) 神谷研二,他:緊急被ばく医療体制―三次被ばく医療機関の活動を中心に.医学のあゆみ239(10):977-984, 2011
4) 谷川攻一,他:福島原子力発電所事故災害に学ぶ―震災後5日間の医療活動から.日救急医会誌22:782-791, 2011
5) Tanigawa K, et al.:Loss of life after evacuation;lessons learned from the Fukushima accident. Lancet 379:889-891, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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