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特集 原子力災害と公衆衛生
原発被災地 南相馬から
著者: 菊地安徳1
所属機関: 1医療法人相雲会小野田病院
ページ範囲:P.957 - P.960
文献購入ページに移動2011年3月11日.“その時”は午後の手術室で起こった.腹に響く地鳴りに続いて,床から突き上げる衝撃.恐怖に慄く悲鳴と散乱する手術器材の金属音が重なる.“その時”がどれ程続いたかよく覚えていない.繰り返す余震に恐怖しつつ,どうにか手術を終わらせた.被害を確認した屋上で,遠く海岸線に荒く波立つ白い帯を見た.まさか,未曾有の惨事がそこで起きていようとは.明日には逃れ得ない苦難がこの地に訪れようとは,思いもよらなかった.
南相馬は幸いにもライフラインは保たれた.水も電気も早期に復旧したが,電話網をはじめ情報網が混乱を来たし,しばらく情報源はテレビのみとなった.
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