文献詳細
文献概要
特集 原子力災害と公衆衛生
福島第一原子力発電所周辺自治体住民に対する保健サービスの現状と課題
著者: 大平洋子1
所属機関: 1福島県相双保健福祉事務所いわき出張所
ページ範囲:P.961 - P.965
文献購入ページに移動3.11の東日本大震災から,間もなく1年6か月が経とうとしています.一見落ち着いた状況にも見えますが,地震・津波によって引き起こされた福島第一原子力発電所の事故は,未だに収束していないのです.
おそらくこの先何十年という長い期間を要する廃炉までの道と,健康支援活動は,同じ道のりを歩いています.
3月11日,その日,私は前任地の会津保健福祉事務所で仕事中でした.14時46分,今まで経験したことのないような強い揺れに襲われました.余震の続く中,職員の安否確認や情報収集に追われました.
放映されるテレビでは,押し寄せる津波の映像が繰り返し映し出されていました.
一方,津波により電源が喪失したことで冷却できなくなり,制御を失った福島第一原子力発電所(以下,「第一原発」という)は,翌3月12日に1号機,続いて3月14日に3号機,3月15日に4号機での爆発という事態になりました.
立て続けに爆発が起こり,多くの住民は避難を余儀なくされました.ほとんどの方は着のみ着のままで県内外に避難し,そう長くないうちに帰宅できるだろうと誰もが考えていたことを,後日避難した当事者に聞きました.
しかし,未だ帰宅できる見通しが立っていないのも事実です.
ここに,双葉郡町村を所管する県保健福祉事務所として,双葉郡等避難住民の健康支援に関わっている立場から,現状と課題を報告します.
掲載誌情報