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連載 災害を支える公衆衛生ネットワーク~東日本大震災からの復旧,復興に学ぶ・9
こころのケアとは―ポピュレーションアプローチの視点から
著者: 佐々木亮平1 岩室紳也2
所属機関: 1日本赤十字秋田看護大学看護学部看護学科 2公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
ページ範囲:P.983 - P.988
文献購入ページに移動東日本大震災前後で比較すると,人口比では岩手県,宮城県では明らかに自殺は減少しているが,福島県ではほぼ横ばいになっている(図1)1).この違いを軽々と評価,考察することはできないが,どの被災地でもハイリスク者へのアプローチ(ハイリスクアプローチ2))は専門職によって丁寧に行われていたのに対して,被災地に蔓延するリスクへのアプローチ(ポピュレーションアプローチ2))は差が大きかったのではないかと考えられる.すなわち,岩手県と宮城県では結果的に同じ被災状況にある人たちが互いの存在を避難所等で語らずとも知り合い,被災で各々が抱えたストレス(リスク)と向き合うことができる環境が生まれていたのとは対照的に,福島県では原発事故のため避難がコミュニティ単位ではないばかりか,福島県内外への分散を余儀なくさせられ,最初から同じような境遇の被災者がいない状況に置かれてしまい,結果として各々のストレスを克服するための環境に差が生じたのではないだろうか.
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