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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生76巻3号

2012年03月発行

文献概要

特集 アルコール関連問題

多量飲酒者に対する早期介入の重要性―ブリーフ・インターベンションの実践から

著者: 角南隆史1 杠岳文1

所属機関: 1肥前精神医療センター

ページ範囲:P.195 - P.199

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はじめに

 「健康日本21」の中では,多量飲酒者を減らし「節度ある適度な飲酒」を普及させることなどを呼びかけているが,これまでアルコール依存症の患者に対する断酒治療以外に,具体的な対策はほとんど取られてきていない.ちなみに「健康日本21」を含めて,通常わが国における多量飲酒者は,純アルコールで1日60グラム以上(具体的には1日に日本酒約3合,あるいはビール中瓶3本以上)の飲酒者を指す.

 このため筆者らは,将来アルコールが健康被害を起こす可能性の高い多量飲酒者,あるいは既に健康被害が及んでいる多量飲酒者に対する早期介入のためのプログラムとツールから成るパッケージ「HAPPYプログラム」を作成した.これは,AUDIT(The Alcohol Use Disorders Identification Test)を用いて飲酒問題の重症度を評価し,教育ビデオや補助教材等を用いる早期介入プログラムである.アルコール問題の早期介入に用いられるブリーフ・インターベンションについては,その有効性を示す数多くの報告が海外でなされているが,わが国ではまだ研究が始まったばかりである.

 本稿では主に,多量飲酒者への早期介入と,その技法としてのブリーフ・インターベンションについて述べる.

参考文献

1) 樋口進(主任研究者):平成15年度研究報告書厚生労働科学研究費助成金がん予防等健康科学総合研究事業「成人の飲酒実態と関連問題の予防に関する研究」,2003
2) Bien TH, Miller WR, Tonigan JS:Brief intervention for alcohol problems;A review. Addiction 88:315-336, 1993
3) Fleming MF, Mundt MP, Barry KL, et al:Brief physician advice for problem drinkers. JAMA 277:1039-1045, 1997
4) Fleming MF, et al:Brief physician advice for problem drinkers;long-term efficacy and benefit-cost analysis. Alcohol Clin Exp Res 26 (1):36-43, 2002
5) 石井裕正(主任研究者):平成21年度研究報告書厚生労働科学研究費助成金循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業「わが国における飲酒の実態ならびに飲酒に関連する生活習慣病,公衆衛生上の諸問題とその対策に関する総合的研究」,2010
6) 肥前精神医療センターのホームページhttp://www.hizen-hosp.jp/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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