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日本も国際保健規則(IHR)の真剣な導入を
著者: 砂川富正1
所属機関: 1国立感染症研究所感染症情報センター
ページ範囲:P.174 - P.175
文献購入ページに移動わが国の公衆衛生業務に従事する方で,国際保健規則(International Health Regulations:以下IHRと略)の名称を聞いたことがある方はどの程度いるだろうか?改正後のIHRの実施は2007年6月であり,5年目の節目である2012年6月は,準備猶予期間として規定されたIHRの現状評価と施行計画策定の期限である.そのような状況であるにもかかわらず,IHRに対する周知不足が国内で普遍的に起こっている.
そもそもわが国においてはIHRへの国としての取り組みが十分に行われておらず,関係する研究者として,筆者自身も深く反省するところである.IHRは,国対WHO(世界保健機関)等のレベルに留まる概念ではなく,自治体や保健所,そして検疫所など公衆衛生の現場が深く関わる,全ての人の健康に関わる国際的な法的枠組みである.途上国を含む各国がIHRに応じた体制の整備を進める中で,わが国が取り残されている感は否めない.本稿では日常の公衆衛生業務において,あるいは国としての戦略として,なぜIHRが重要であるか,について考えていきたい.
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