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特集 地域医療の現状と将来展望
小児医療体制の現状と将来展望
著者: 森臨太郎1
所属機関: 1国際母子保健研究所
ページ範囲:P.271 - P.275
文献購入ページに移動わが国が直面している急激な少子高齢化を示す国は世界のどこにもなく,社会構造の転換の中,子どもたちの地域や家族の中でのあり方は,いやおうなく大きな影響を受ける.少子高齢化の対策は近視眼的には高齢化人口の社会保障であるが,より長期的視点に立つと,健全な次世代育成ということが最重点課題である.
子どもの健康や安全という側面でのわが国の評価は,OECD諸国の中で平均的ではあるものの,他のOECD諸国から比べると際立った特徴がある.わが国の乳児死亡率はOECD諸国内で最も低率であるものの,出生の中で低出生体重児の占める割合は最も高い.麻疹ワクチンの際立って低いワクチンカバー率はあるものの,総体としてはワクチンのカバー率や事故による死亡は,OECD諸国内では平均的である.10代の妊娠率はOECD諸国中最低ではあるものの,15歳時に「さびしい」と感じている子どもたちの割合は,他のすべてのOECD諸国では5~10%であるが,わが国では30%と際立って高い.
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