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特集 高齢者の身近な疾患
高齢者の眼科疾患
著者: 川島幸夫1 川島裕子1
所属機関: 1医療法人博温会川島眼科
ページ範囲:P.349 - P.354
文献購入ページに移動高齢化の進行とともに,加齢による各種疾患が増加の途にあるのは,眼科領域においても同様である.現在,日本人の失明原因は1位は緑内障,2位は糖尿病性眼疾患,3位は網膜色素変性症,4位は加齢性黄斑変性症である.加齢性白内障は高齢者の最も有病率の高い疾患で,以前は白内障で失明していたが,手術の進歩で,失明患者は低下の一途である.眼科外来で,よく見る眼疾患もおおむね,これらの順位に準じる形で経験されるのが一般的である.よってこれらの疾患に精通することが眼科専門医に求められるが,一般医家にとってもたびたび遭遇する疾患であるので,一般的な知識として知っておき,これらの疾患の存在が疑われたら,眼科専門医受診を勧めていただけることが早期発見と治療になり,ひいては日本人の失明率を下げる一助となる.
両眼の高度視力障害に陥った高齢者を盲老人と呼ぶが,このこと自体高齢者の自活を妨げる社会問題になっているが,両眼の視力障害は,高齢者の高次脳機能の低下を惹起し,認知症の悪化も促進させる.その見地からも,高齢者の視機能の保全は今後,高齢化社会が進行する中で,重要な課題となるものと考えられる.
科学技術の進歩と革新は,これら疾患の診断と治療を飛躍的に進歩させている.本稿では疾患の概念と,最近これらの領域に導入された新しい医療技術についても触れてみたいと考える.
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