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沈思黙考
「合成の誤謬」とは?
著者: 林謙治1
所属機関: 1国立保健医療科学院
ページ範囲:P.354 - P.354
文献購入ページに移動マネージメントを円滑に進めるためには,どうしてもコーディネート能力が問われる.様々な意見が飛び交うなかを整理して,ひとつの方向にまとめることが要求されるわけだが,真っ向から対立する意見がある場合,調整に苦労することは言うまでもない.一見して相反する意見であっても,実は見ている角度が違う,あるいはレベルが違うだけであって,本質的な違いでないこともしばしばある.したがって調整者は角度・レベルを分別できることが重要であり,このことを発言者たちに理解してもらう工夫が必要である.また,発言者が議論を戦わせているうちに感情的になってしまった場合,調整者(議長)はそれに巻き込まれてはならない.そのためには調整者は個人的な好み,利益を捨てるつもりで臨まなければならない.一般に陥りやすい落とし穴は,表面的に調整できたことで満足し,本来目指す目的を見失うことである.すべての関係者は,真摯でありもっともな意見であっても,その目的を見失うと,総合すると好ましくない結果になってしまうことがある.これを「合成の誤謬」と言う.議論の調整ではないが,「合成の誤謬」について経験した例を一つ挙げてみたい.
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