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特集 運動とは何か
地域における健康づくりの方向転換
著者: 内藤義彦1
所属機関: 1武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科
ページ範囲:P.456 - P.461
文献購入ページに移動急激な少子高齢化の進行および経済の停滞が主因となって,社会保障の屋台骨が揺らいできた.特に,社会保障の大きな柱である健康保険制度は,国民皆保険が達成されてから半世紀が経過した今,持続可能性を危ぶむ声もある.原資である保険料収入に対する医療費支出の増加傾向は,今後も少子高齢化が進む限り不可避と言えそうだが,支出の多くを占めている生活習慣病の罹患または有病率を減らすことができれば,大幅な支出抑制が期待できる.
最近の厚生行政の施策には生活習慣病に関わる記述を必ずというほど認めるが,現在の生活習慣病対策の要となる健康施策は,健康増進法に基づく「健康日本21」と高齢者医療確保法に基づく「特定健診・特定保健指導」と考えられる.前者は,主に生活習慣病の一次予防を中心とした集団戦略を,後者は,二次予防であるハイリスク戦略を重視している.
本稿では,この2つの施策における運動・身体活動に関する現状と問題を略述し,地域において今後,運動・身体活動を普及させる,ひいては生活習慣病対策の効果を上げるために必要なことについて,事例を交えて考察してみたい.なお,公衆衛生と運動・身体活動に関する全般的なトピックの紹介およびその議論は,『日本公衆衛生学雑誌』の連載1~4)をご覧いただきたい.
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