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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生76巻6号

2012年06月発行

文献概要

連載 講座/健康で持続的な働き甲斐のある労働へ─新しい仕組みをつくろう・3

過重労働と過労死をいかに防止するか

著者: 森岡孝二1

所属機関: 1関西大学経済学部

ページ範囲:P.482 - P.485

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 過重労働による極度の疲労とストレスで斃(たお)れる人が依然として後を絶たない1).男女の労働者全体で見ると,雇用の非正規化にともなう短時間労働者の増加で,平均労働時間は減少している.その反面,正社員は相変わらず働きすぎで,2010年のNHK「国民生活時間調査」によると,1日10時間を超えて働く「勤め人」の割合は,女性でも10%,男性では33%にも上る.政府,厚生労働省は,サービス残業における不払い賃金の是正には不十分ながら取り組んできたが,長時間残業に対しては実効性のある規制をしてこなかった.

 そこで本稿では,過労死防止基本法の制定の必要性にも触れて,どうすれば過重労働と過労死を防止することができるのかを,法制度や政府政策との関連で述べる.

参考文献

1) 熊沢誠:働きすぎに斃れて―過労死・過労自殺の語る労働史.岩波書店,2010
2) 規模30人以上ではリーマショック後の2009年に初めて1,800時間を割り込んだが,規模5人以上では2005年にすでにほぼ1,800時間になっていた.
3) 森岡孝二:就職とは何か―〈まともな働き方〉の条件.岩波新書,2011
4) 日本経済新聞(2011年2月23日).宮里邦雄・川人博・井上幸夫:就活前に読む―会社の現実とワークルール.旬報社,2011
5) ILO駐日事務所:World of Work,第57号,2006年9月
6) 最高裁判決:2000年3月24日〔電通過労自殺事件〕労働判例779号.
7) 日本学術会議:「提言」,2011年4月,http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t119-2.pdf.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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