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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生76巻7号

2012年07月発行

文献概要

特集 在宅医療・地域包括ケア

在宅高齢者の看取りにおける家族支援の重要性

著者: 叶谷由佳1

所属機関: 1横浜市立大学医学部看護学科

ページ範囲:P.523 - P.527

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 日本の総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は年々増加しており,2011(平成23)年の高齢化率は23.1%であった1).それに伴い,死亡数も年々増加し,2011年は123万人を超えると推計され2),今後も死亡数は増加すると予測される.これらより,高齢者の終末期をどのように過ごすかが今後の大きな課題である.

 2010(平成22)年,内閣府が60歳以上の男女を対象に実施した「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査」結果によると,虚弱化したときの居住形態では「現在の住居に,特に改造などはせずそのまま住み続けたい」と回答した人が37.1%,「現在の住宅を改造し住みやすくする」と回答した人が24.9%と,60%以上が在宅で過ごしたいと回答している3).しかし,2010年の死亡場所別死亡割合では,病院や施設内が85.1%に対し,自宅が12.6%4)と,圧倒的に病院や施設内で終末期を迎えている高齢者が多い.医療制度改革等において在宅推進の方針が掲げられてから久しいが,在宅推進が促進されているとは言い難い現状にあると言える.

参考文献

1) 国民衛生の動向2011/2012.厚生統計協会,2011
2) 厚生労働省:平成23(2011)年人口動態統計の年間推計,結果の概要http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei11/dl/gaiyou.pdf (2012/4/13引用)
3) 内閣府政策統括官:平成22年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h22/sougou/zentai/index.html (2012/4/13引用)
4) 厚生労働省:平成22年人口動態調査http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001082327(2012/4/13引用)
5) 厚生省:老人保健福祉計画策定にあたっての痴呆老人の把握方法等について(老計第29号),1992
6) 朝田隆:認知症の人はどのくらいいるのか.こころの科学161:12-16, 2012
7) 栗田主一:認知症のはじまり,早期診断と初期対応.こころの科学161:17-22, 2012
8) 三山吉夫:認知症を伴う高齢者の終末期の現状と課題.老年精神医学雑誌22(12):1363-1368, 2011
9) Schultz R, et al:End-of-life care and the effects of bereavement on family caregivers of persons with dementia. N Eng J Med 349(20):1936-1942, 2003
10) 宮田和明,他:在宅高齢者の終末期ケア―全国訪問看護ステーション調査に学ぶ.中央法規,2004
11) 平川仁尚,植村和正:在宅終末期高齢者の家族の教育に関する指針の提案.医学教育41(2):125-127, 2010
12) 須佐公子,他:ケアマネージャーから見た在宅高齢者のターミナルケア体制の現状と課題.獨協医科大学看護学部紀要3:35-42, 2009
13) 杉本浩章,他:世帯の経済水準による終末期ケア格差.社会福祉学52(1):109-122, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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