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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生76巻7号

2012年07月発行

文献概要

連載 講座/健康で持続的な働き甲斐のある労働へ─新しい仕組みをつくろう・4

非正規雇用労働者の安全・健康・権利

著者: 矢野栄二1

所属機関: 1帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座

ページ範囲:P.558 - P.562

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 派遣,パートタイマー,契約などの非正規雇用者の割合は,今や雇用者全体の3分の1を超え,女性においては過半数に達している.非正規雇用者増加の結果,労災事故,メンタル不調,受診抑制や保険の不支給が見られるが,一方,正規労働者の過重労働は少しも減っていない.非正規雇用は職場を分断し,すべての労働者の権利を弱め,健康にも影響する差別の問題と捉えるべきである.日本ではこの問題についての実証研究は必ずしも多くなく,海外との競争の中で労働コスト削減のため非正規雇用は必要悪との論もある.しかし,現行制度の下でもこれら労働者の健康を守るためにできること,なすべきことは多く,とりわけ公衆衛生専門職の果たす役割は大きい.

参考文献

1) 矢野栄二:非正規雇用に関連した健康障害を防止するために.矢野栄二(編):雇用形態多様化と労働者の健康,pp282-290,労働科学研究所出版部,2008
2) 阿部重一:雇用の多様化に対する政府の取り組み.矢野栄二(編):雇用形態多様化と労働者の健康.pp274-280,労働科学研究所出版部,2008
3) 井上まり子,他:非正規雇用者の健康影響に関する文献調査.産業衛生学雑誌53:117-139, 2011
4) 矢野栄二:非正規雇用と労働者の健康に関するQ & A.矢野栄二・井上まり子(編):非正規雇用と労働者の健康,pp306-335,労働科学研究所出版部,2011
5) 森晃爾,梶木繁之:雇用の多様化に対応した「事業所内の包括的な安全衛生活動責任体制評価シート集」の開発と評価.矢野栄二(編):雇用形態多様化と労働者の健康,pp174-211,労働科学研究所出版部,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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