icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生76巻9号

2012年09月発行

文献概要

連載 災害を支える公衆衛生ネットワーク~東日本大震災からの復旧,復興に学ぶ・6

「場」づくりを意識した企画調整機能の重要性

著者: 佐々木亮平1 岩室紳也2

所属機関: 1日本赤十字秋田看護大学看護学部看護学科 2公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター

ページ範囲:P.722 - P.726

文献購入ページに移動
だれもが被災者

 「被災者」という言葉を聞いて,読者の方はどのような定義をされるだろうか.被災地では家族,親戚,友人,知人,仲間,財産,家,仕事,生活空間を何一つ失わなかった人は一人もいない.この連載でも9人いた陸前高田市の保健師の内6人が犠牲になったことは何度か書いているが,つらい思いでいる一人が,犠牲者たちの元同僚であった佐々木自身である.今現在,岩室は一緒に陸前高田市入りしている佐々木の心中をどう受け止めていいか,わからないままである.佐々木は震災1年前まで被災地で生活をし,陸前高田市(岩手県)退職後も現地の玄米ニギニギ体操自主グループ1)や子育て支援団体を後方支援したり,AIDS事業を陸前高田青年会議所と協働し続け,震災1か月前にも元同僚らと現地で会い,これからの夢や展望などについて熱く,深く語り合っていた.しかし,佐々木は一般的には,被災者と考えられていない.

 一方,岩室は陸前高田市で津波を経験しているわけではないにもかかわらず,繰り返し陸前高田市入りしているためか,最近は海抜ゼロメートル地帯で避難先の高台が遠く離れているところにいるだけで,何とも言えない恐怖感にさいなまれている.しかし,それは一般論として誰もが地震や津波を怖がるのと同じではないかと思われている.

参考文献

1) 佐々木亮平,岩室紳也:被災地の復旧,復興に不可欠な公衆衛生機能とは.公衆衛生76(5):397-401, 2012
2) http://homepage2.nifty.com/iwamuro/saigai/rikuzentakatakaigi.html
3) 佐々木亮平:専門支援チーム撤退がもたらす新たな力~復興へ向かう陸前高田市の今・第七報.地域保健42(11):60-67, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら