公衆衛生77巻1号

2013年01月発行

連載 災害を支える公衆衛生ネットワーク～東日本大震災からの復旧，復興に学ぶ・10

陸前高田市を支えた保健所機能

著者： 佐々木亮平¹ 岩室紳也²

所属機関： ¹日本赤十字秋田看護大学看護学部看護学科 ²公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター

ページ範囲：P.59 - P.64

「被災地」は同じではない

　今回のタイトルは「災害時に求められる保健所機能」ではなく，「陸前高田市を支えた保健所機能」とした．東日本大震災発災から1年8か月が経ち，日本公衆衛生学会のシンポジウムをはじめ，様々な立場で災害後の公衆衛生活動が検証されている．しかし，陸前高田市に照らし合わせると，的を射てないと感じる場合が少なくない．その理由は，一口に「被災地」と言っても，被災状況は人的，物的，さらにはメンタル面も各地事情がまったく異なるからであり，われわれも本連載で「災害時に求められる…」という表現を使うことは，かえって他の被災地に対して失礼ではないかと強く思うようになってきた．本連載のタイトルは「陸前高田市の被災を支える公衆衛生ネットワーク～陸前高田市の復旧，復興に学ぶ～」が適切であったと思い，反省している．このように日々迷いながらも，とにかく被災地の状況を発信し続けようという思いだけでこの連載が続いていることをご理解いただきたい．

参考文献

1) 佐々木亮平，岩室紳也：災害を支える公衆衛生ネットワーク/「場」づくりを意識した企画調整機能の重要性．公衆衛生76(9):722-725, 2012

2) 佐々木亮平，岩室紳也：災害を支える公衆衛生ネットワーク/災害時の情報共有の課題．公衆衛生76(6):478-481, 2012

3) いわての統計情報　http://www3.pref.iwate.jp/webdb/view/outside/s14Tokei/top.html

4) 気仙圏域医療連携推進プラン　　http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=2851&of=1&ik=3&pnp=17&pnp=77&pnp=1392&pnp=2851&cd=18990

5) http://www.city.ofunato.iwate.jp/www/contents/1303015440244/html/common/other/50767578003.pdf

6) http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/shinsai/shinsai-img/hazard1.pdf

7) 佐々木亮平，岩室紳也：災害を支える公衆衛生ネットワーク/公衆衛生版トリアージの実際．公衆衛生76(4):309-312, 2012

8) 佐々木亮平，岩室紳也，他：災害を支える公衆衛生ネットワーク/長期派遣総括保健師の役割．公衆衛生76(10):805-809, 2012

9) 佐々木亮平，岩室紳也：災害を支える公衆衛生ネットワーク/こころのケアとは―ハイリスクアプローチの視点から．公衆衛生76(11):891-895, 2012

10) 佐々木亮平，岩室紳也：災害を支える公衆衛生ネットワーク/こころのケアとは―ポピュレーションアプローチの視点から．公衆衛生76(11):983-988, 2012

11) http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002dj80.html

12) http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H120801H0010.pdf