icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻1号

2013年01月発行

文献概要

連載 公衆衛生Up-To-Date・1【新連載】 [国立感染症研究所発信:その1]

警戒しないといけない輸入感染症の話題「デング熱,チクングニア熱」

著者: 高崎智彦1

所属機関: 1国立感染症研究所ウイルス第一部第二室

ページ範囲:P.72 - P.74

文献購入ページに移動
はじめに

 デング熱・デング出血熱は,デングウイルス(Dengue Virus)の感染によって発症する急性熱性感染症である.ネッタイシマ蚊(Aedes aegypti)およびヒトスジシマ蚊(Aedes albopictus)が主たる媒介蚊である.さらに,デングウイルスと同じ蚊により,媒介されるチクングニアウイルスというウイルスが,東南アジアや南アジアで流行している.2つのウイルスは,ウイルス学的には異なる科に属するが,臨床症状はかなり類似しており,突然の発熱,関節痛,発疹が主症状である.デング熱は日本国内では1942~1945年にかけて流行したが,その後国内流行はない.しかし,海外のデング熱流行地域からの輸入症例は毎年100~200例前後報告されている.都市部で流行するデング熱とチクングニア熱は,地球温暖化と経済発展に伴う都市への人口流入という要因から,流行拡大が予想され,輸入症例に端を発した国内流行発生に注意が必要である.

参考文献

1) Monath TP, Tsai TF:Flaviviruses. In:Clinical Virology(ed by Richman DD, et al.), pp1097-1151, ASM Press, Washington DC, 2002
2) Lim CK, et al.:Re-emergence of chikungunya virus. pp1-22, “Animal Viruses” Transworld Research Network, Kerala, India, 2010
3) Takasaki T:Imported dengue fever/dengue hemorrhagic fever cases in Japan. Tropical Medicine and Health. 39(4 Suppl):13-15, 2011
4) Moi ML, et al.:Importation of dengue virus type 3 to Japan from Tanzania and cote d'Ivoire. Emerg Infect Dis 16(11):1770-1772, 2010
5) Takasaki T, et al.:Dengue virus type 2 isolated from an imported dengue patients in Japan;first isolation of dengue virus from Nepal. J Travel Med 15:46-49, 2008
6) Gjenero-Margan I, et al.:Autochthonous dengue fever in Croatia, August-September 2010. Eurosurveill 16(9):pii=19805, 2011
7) WHO:Outbreak and spread of chikungunya. Wkly Epidemiol Rec 82(47):409-415, 2007
8) Chhabra M, et al.:Chikungunya fever;a re-emerging viral infection. Indian J Med Microbiol 26(1):5-12, 2008
9) De Wu, et al.:Chikungunya outbreak in guangdong province, China, 2010. Emerg Infect Dis 18:493-495, 2012
10) 水野泰孝,他:遷延する関節痛より確定診断に至ったチクングニア熱の本邦初症例.感染症学雑誌81(5):600-601, 2007
11) 横井 一,他:〈速報〉チクングニア熱の輸入症例―千葉市.病原微生物検出情報33:239-240, 2012
12) 梶山桂子,他:〈速報〉チクングニア熱のカンボジアからの輸入例―福岡市.病原微生物検出情報33:240, 2012
13) 小倉 惇,他:〈速報〉フィリピンから帰国後に発症し確認されたチクングニア熱輸入症例―千葉県.33:241, 2012
14) Moi Meng Ling, 高崎智彦:感染症迅速診断キットの有用性と限界「デング熱」.小児科53(4):457-465, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら