文献詳細
文献概要
予防と臨床のはざまで
職域におけるヘルスリテラシー
著者: 福田洋1
所属機関: 1順天堂大学医学部総合診療科
ページ範囲:P.84 - P.84
文献購入ページに移動2010年秋,幸運にもロンドンの郊外にあるサウサンプトン大学へ,ヘルスリテラシー研究の第一人者ナットビーム教授を直接お訪ねし,インタビューすることができました.ナットビーム教授は,ヘルスリテラシーは「単に個人を健康にするだけでなく,組織,地域や社会を健康にする力がある」とおっしゃっています.つまり,ヘルスリテラシーが高い人は,もちろん禁煙したり,運動をはじめたり,食事に気をつかったりしますが,それだけでなく,仲間を誘ってサークル活動を始めたり,周囲の人にも禁煙を勧めてくれるかもしれません.社内にヘルスリテラシーが高い人が増えると,自然と口コミで正しい健康情報が広まり,会社全体が健康になるということが期待できます.つまりヘルスリテラシーを単なるリスクファクターとしてでなく資産(アセット)として捉える考え方で,非常に共感できるものでした.約1時間,臨床と公衆衛生,米国と欧州での捉えられ方の違い,知識(ナレッジ)とリテラシーの差など多くのことを議論でき,自分にとって大変貴重な時間となりました.ナットビーム教授に日本の企業での職域ヘルスプロモーションの取り組みを紹介したところ,「それは間違いなくヘルスリテラシーを高める取り組みだよ」とおっしゃって頂きました.
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