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特集 日常生活とアレルギー
食物アレルギーの現状
著者: 近藤直実123 小玉ひとみ2 熊田ますみ2 松野ゆかり2
所属機関: 1岐阜大学 2平成医療短期大学 3日本小児アレルギー学会
ページ範囲:P.790 - P.795
文献購入ページに移動近年,食物アレルギーを持つ小児や成人は増加している.さらに,最近は種々の重大な問題が起きており,大きな社会問題になっている.このような時こそ原点に立ち返り,食物アレルギーを基礎と臨床の視点から,最新の知見や情報をもとにして整理,理解したうえで日常の臨床や活動に冷静にかかわることがより強く求められる.そこで本稿では,この食物アレルギーの現状として,臨床,発症機序,さらに免疫寛容を含めた新たな治療戦略などについて概説する.
食物を摂取することにより起こる不利益な反応(adverse reactions)は,その機序が種々である.食物アレルギーfood allergy(食物過敏症food hypersensitivity)は,免疫学的機序が関与するものをいう.この他に食物の毒性,先天性代謝異常症などの非免疫学的機序によるものなどがある.最新の「食物アレルギー診療ガイドライン2012」1)(日本小児アレルギー学会)では,最新の知見や考えから,“食物アレルギーとは食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象”と定義されている.すなわち,食物の生体への侵入経路を経口摂取だけに限定しない.
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