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特集 日常生活とアレルギー
行政における食物アレルギー対策
著者: 丸井英二1
所属機関: 1人間総合科学大学人間科学部
ページ範囲:P.838 - P.841
文献購入ページに移動従来,食品衛生の目的は,よりよい食品を作ることであった.毒物の混入がなく無毒であり,腐敗していない,汚染されていない食品は当然のこととして,そのための生産工程管理などについて,HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)のような措置が必要とされてきた.こうした「よいモノ」を作り出すための規制は,歴史的に食品衛生法などによって行われてきた.特に平成12(2000)年の「雪印事件」以後,さまざまな食品関連の事件が広く注目を浴びるようになり,細かい点では批判もあるにしても,行政の監視や対策は歴史的にもそれなりの成果を上げてきた.
しかし,食物アレルギーが問題とされることで,事情はまったく異なるものになってきた.それは,よいモノを作ればそれですむ,あるいは良質の食品を生産しさえすればよいという「神話」が崩れたからである.換言すれば,「タンパクに優れたよい食品」を作ることはよいことなのだが,食物アレルギーの問題は,その先で最終的に「誰が食べるか」にあったからである.その意味では,「モノに罪はない」のである.
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