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漠然とした課題と公衆衛生活動
「健やか親子21」には思春期の保健対策の強化として,人工妊娠中絶や性感染症なども含まれており,平成17(2005)年の中間評価報告書では,
・10代の自殺率と性感染症罹患率は改善が認められなかった
・10代の人工妊娠中絶実施率は減少傾向にあるもののその要因は明らかではなく,地域格差もあるため,今後さらなる分析が必要である
と挙げられている1).
これまで私は性問題対策にかかわってきたが,保健所保健師としてAIDS対策を担当した当初,コンドーム使用を強く推進していた.しかし,多くの住民の相談を受けるうち,漠然と山形県の性問題は「自分の心と体を守るための自尊心の問題である」と感じた.そのことを機に公衆衛生看護活動を展開し,「生きるための心の教育(性教育)」教材2)を開発し,山形県教育委員会とともに,15歳以上20歳未満の人工妊娠中絶率(年齢階層別女子人口千人対)を,2000年18.3の全国6位から2010年5.0(全国45位)3,4)へと約3分の1に,性器クラミジア感染症を定点あたり2000年8.8から2010年1.405)へと,約6分の1への減少につなげた.
「健やか親子21」には思春期の保健対策の強化として,人工妊娠中絶や性感染症なども含まれており,平成17(2005)年の中間評価報告書では,
・10代の自殺率と性感染症罹患率は改善が認められなかった
・10代の人工妊娠中絶実施率は減少傾向にあるもののその要因は明らかではなく,地域格差もあるため,今後さらなる分析が必要である
と挙げられている1).
これまで私は性問題対策にかかわってきたが,保健所保健師としてAIDS対策を担当した当初,コンドーム使用を強く推進していた.しかし,多くの住民の相談を受けるうち,漠然と山形県の性問題は「自分の心と体を守るための自尊心の問題である」と感じた.そのことを機に公衆衛生看護活動を展開し,「生きるための心の教育(性教育)」教材2)を開発し,山形県教育委員会とともに,15歳以上20歳未満の人工妊娠中絶率(年齢階層別女子人口千人対)を,2000年18.3の全国6位から2010年5.0(全国45位)3,4)へと約3分の1に,性器クラミジア感染症を定点あたり2000年8.8から2010年1.405)へと,約6分の1への減少につなげた.
参考文献
1) 厚生労働省:「健やか親子21」中間評価報告書について.http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/03/s0316-4.html
2) 渡會睦子:性(生)教育プログラムと教材(小学生用教材),(中学生用教材),(高等学校生用教材).日本家族計画協会,2005
3) 厚生労働省大臣官房統計情報部:保健・衛生行政業務報告(衛生行政報告例).http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001059640
4) 厚生労働省大臣官房統計情報部:母体保護統計報告(平成8~16年).厚生統計協会,2006
5) 厚生労働省健康局結核感染症課・国立感染症研究所感染症情報センター:感染症発生動向調査事業年報.http://idsc.nih.go.jp/idwr/CDROM/Main.html
6) 渡會睦子:小・中・高等学校生における性の実態と教職にみる性教育の現況.日本性科学学会雑誌21:39-45,2003
7) 渡會睦子:地域における保健行政の役割.日本性感染症学会誌21:50-54,2010
8) 渡會睦子:若年層と性感染症から守る健康教育.公衆衛生72:473-477,2008
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