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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻11号

2013年11月発行

文献概要

特集 院内感染対策

―アウトブレイク事例から学ぶ―バンコマイシン耐性腸球菌の院内感染事例

著者: 佐藤厚夫12

所属機関: 1労働者健康福祉機構横浜労災病院小児科 2前・藤沢市民病院こども診療センター小児救急科

ページ範囲:P.902 - P.905

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はじめに

 日本の厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(Japan Nosocomial Infections Surveillance;JANIS)の公開情報(2012年年報)1)によれば,日本におけるバンンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant Enterococcus;VRE)の分離率は0.02%(腸球菌感染症における割合は0.2%)で,10.8%の医療機関からしか報告されていない.いい換えればVREは,院内感染対策上「完全制御しなくてはならない」耐性菌といえる2,3)

 藤沢市民病院(神奈川県藤沢市)では,2010~2011年にかけて,わが国における過去の報告4,5)を大幅に上回る症例数(106名)のVRE院内感染アウトブレイクを経験した.本稿では,個人・チーム・病院のすべての面で未曽有の院内感染事例に直面した時,その対策においてわれわれが何に成功し,何に失敗したかを振り返りたい.なお,詳細については病院ホームページ上の報告書6)を参照していただきたい.

参考文献

1) 厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(JANIS):公開情報2012年年報―検査部門 (http://www.nih-janis.jp/report/open_report/2012/3/1/ken_Open_Report_201200.pdf)
2) 京都VRE調査班:京都におけるVRE感染対策指針.2007 (http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/%7Eict/ict/inf_practice/inf_ict/shishin.pdf)
3) Fournier S, et al:Long-term control of vancomycin-resistant Enterococcus faecium at the scale of a large multihospital institution:a seven-year experience. Euro Surveill 17:pii=20229, 2012
4) 埼玉医科大学におけるバンコマイシン耐性腸球菌の院内感染事例に関する外部調査委員を交えた調査委員会:埼玉医科大学病院ならびに埼玉医科大学国際医療センターにおいて発生したバンコマイシン耐性腸球菌の院内感染集団発生に関する調査報告書.2007 (http://www.saitama-med.ac.jp/kokusai/images/vre20071017.pdf)
5) 稲垣薫,他:西尾市民病院におけるバンコマイシン耐性腸球菌Vancomycin resistant Enterococcus(VRE)のアウトブレイクの経験.全国自治体病協誌49:146-151, 2010
6) 藤沢市民病院VRE対策会議・感染対策チーム(編):藤沢市民病院バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)院内感染アウトブレイクに関する報告書.2012 (http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/hospital/news/documents/20120518_vrereport.pdf)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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