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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻12号

2013年12月発行

文献概要

特集 がん対策の強化

わが国のがん対策の評価―新たな政策立案に向けて―“評価1.0”から“評価2.0”への道のり

著者: 埴岡健一1

所属機関: 1日本医療政策機構市民医療協議会がん政策情報センター

ページ範囲:P.948 - P.955

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「アウトカムベースの評価」と「本物のPDCAサイクル」を目指して

 がん対策推進基本法が施行され,がん対策推進基本計画が始まってから6年半が経過した.この間,がん対策に多くの労力と予算が投入され,対策推進は格段と活発になったと考えられる.大きな節目となる10年目の2016年度末まで,あと3年余りとなる.これからは,がん対策が患者・国民に果実をもたらしていることを示すことが重要となる.それによって,効果をもたらす施策をより強化して効果をより高めるという循環を生むことができる.また,がん対策に取り組む関係者が,迷いなく取り組みにまい進することができるようになる(表1).

 そのためには,アウトプットベースの「評価1.0」からアウトカムベースの「評価2.0」に移行し,「仮のPDCA(計画,実施,評価,改善)サイクル」から「本物のPDCAサイクル」へと軌道を一段高めることが欠かせない.本稿では,「第1期がん対策推進基本計画(2007~2011年度)」(以下,第1期基本計画),および「第2期がん対策推進基本計画(2012~2016年度)」(以下,第2期基本計画)に組み込まれている評価に関する基本的考えを検討し,「第2期都道府県がん対策推進計画(2013~2017年度)」(以下,第2期県計画)に実際に含まれた評価の実施方法を視野に入れたうえで,「評価2.0」に早期に移行するための道筋を示したい.

参考文献

1) 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課「がん対策推進基本計画策定後の主な指標の進捗状況」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002aotq-att/2r9852000002aoyt.pdf)
2) 厚生労働省:がん対策推進基本計画(第2期).2012
3) 日本医療政策機構市民医療協議会がん政策情報センター:都道府県がん対策カルテ2013.2013
4) 奈良県がん対策推進協議会(2013年8月6日)資料,「第2期計画(がん医療関係)の評価指標と患者意識調査との関係」
5) 埴岡健一:「がん対策基本法」施行3年半を総括する―第2次がん対策推進基本計画に向けて,医療白書2010年度版.日本医療企画,2010
6) 埴岡健一:2012年「第2次がん対策推進計画」スタート―がん対策目標達成への具体的方策はあるのか,医療白書2012年度版.日本医療企画,2012
7) 埴岡健一:日本のがん対策:第一期がん対策推進基本計画期間(2007~2011年度)の総括と第二期期間(2012~2016年度)への展望.保健医療科学61(6):524-542,2012
8) 龍慶昭,他:「政策評価」の理論と技法.多賀出版,2004
9) ピーター・H・ロッシ,他:プログラム評価の理論と方法―システマティックな対人サービス・政策評価の実践ガイド.日本評論社,2005
10) マイケル・クインパットン:実用重視の事業評価入門.清水弘文堂書房,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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