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特集 がん対策の強化
がん予防研究の成果と新たな展開
著者: 津金昌一郎1
所属機関: 1国立がん研究センターがん予防・検診研究センター
ページ範囲:P.956 - P.960
文献購入ページに移動がんの罹患を未然に防ぐ(がん罹患確率を下げる)“がん予防”,がんに罹患していてもがんによる死亡を防ぐ(がん死亡率を下げる)“がん検診”は,がん対策の第一・第二の砦であり,それぞれ,「第一次予防」・「第二次予防」と称されている.
平成19(2007)年4月1日から施行されている「がん対策基本法」においても,国民の責務として,「国民は,喫煙,食生活,運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を持ち,がんの予防に必要な注意を払うよう努めるとともに,必要に応じ,がん検診を受けるよう努めなければならない」と記され,がん対策における重要な柱となっている.
がん予防に関する正しい知識やがん検診の有効性については,複数の科学研究により作られ検証されている.その中でも,生活習慣や検診受診などさまざまな要因についての情報を収集し,その後のがん罹患との関連を検証するコホート研究や,要因をランダムに割り付けることにより,その予防効果を検証する介入研究(ランダム化比較試験)からのエビデンスは,確かながん予防に結びつけるためには必須である.
健康な人のがんの罹患率は必ずしも高くないためにいずれも大規模である必要があり,容易に研究を行うことはできないが,大規模介入研究の成果は欧米を中心に,また,コホート研究については,日本からも成果が得られるようになった.
本稿では,このような成果をどのようにがん予防に結びつけるのかについて解説するとともに,新たな展開について私見を記す.
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