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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻12号

2013年12月発行

文献概要

特集 がん対策の強化

がん診療連携拠点病院の課題と展望

著者: 山口建1

所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター

ページ範囲:P.961 - P.967

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はじめに

 がん診療連携拠点病院(以下,拠点病院)は,国民がどの地域に居住していても標準的ながん医療を受けられること,すなわち,がん医療の“均てん”を目標として,2001年度に創設された厚生労働省の制度である.“均てん”とは「均霑」と書き,天からの雨が等しく住む人々に降りかかることを意味し,医療の分野では一定水準以上の医療技術があまねく受けられるようになることを指す.その後,指定要件が厳格になり,2006年には個々の都道府県において,都道府県拠点と二次医療圏の地域拠点という二層構造とすることが決定された.さらに,2008年には診療機能を強化するための指定要件を加え,補助金や診療報酬上の優遇措置などを充実させながら,2013年には全国397の医療機関が指定を受けて現在に至っている.この間,がん拠点病院の制度が中核的な役割を果たすがん対策基本法が2006年に成立し,2007年にはがん対策推進基本計画が策定された(表1)1)

 このような歴史の中で,現在,拠点病院制度における重要課題として2つの格差,すなわち,①拠点病院が空白の二次医療圏が100以上存在し,“均てん”という目標とは逆の地域格差の存在,②拠点病院間の診療機能上の格差の存在,などが浮かび上がってきた.そこで,厚生労働省では現在,拠点病院のあり方について検討を進め2),2013年度には新しい指定要件を定め,2014年度以降適用していく方針を立てている.

 本稿の執筆時点では,新たな指定要件についての最終的な結論は出ていないため,新要件については議論のポイントを中心に述べていきたい.

参考文献

1) 山口建,他:がん診療連携拠点病院の現状と課題.保健医療科57(4):318-326, 2008
2) 厚生労働省:がん診療提供体制のあり方に関する検討会
3) 全国がん(成人病)センター協議会 http://www.zengankyo.ncc.go.jp/
4) 厚生労働省:がん診療連携拠点病院の整備について,厚生労働省健康局長通知(2008年3月1日付け)
5) 国立がんセンターがん情報サービス:病院を探す―がん診療連携拠点病院 http://ganjoho.ncc.go.jp/pub/hosp_info/hospital01/index.html
6) 山口建:がんサバイバー支援―患者・家族を支援するがんよろず相談,産と婦80(2):165-171, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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