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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻2号

2013年02月発行

文献概要

特集 歯科口腔保健を巡る話題

超高齢社会における8020運動の現状と課題

著者: 深井穫博12

所属機関: 1深井保健科学研究所 2日本歯科医師会

ページ範囲:P.97 - P.101

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はじめに

 団塊の世代が65歳に達した2012年,わが国の高齢者人口は3,000万人,高齢化率は24.1%となり,百寿者の数も50,000人を超えた1)

 この超高齢社会のなかで,2011年8月,「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布・施行された.この法律の第一条に,「口腔の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしている」と明記された.翌2012年7月には,「国民の健康増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」が大臣告示の形で示された2).このなかで,歯・口腔の健康は,健康寿命の延伸と健康格差の縮小,生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底[NCD(非感染性疾患)の予防],社会生活を営むために必要な機能の維持および向上等を実現するための基本要素と位置づけられている.

 このように,歯・口腔の健康が,全身の健康を維持増進するための基礎的なものとして,法律と施策のなかで位置づけられるようになったのは,口腔と全身の健康に関する疫学データと基礎研究が,今世紀になり次々と報告されるようになってきたことがその背景となっている.

参考文献

1) 厚生労働省:平成24年百歳以上高齢者等について.2012 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ju6v-att/2r9852000002juap.pdf
2) 厚生労働大臣:国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針.官報(号外第150号),2012年7月10日
3) Fukai K, et al.:Dental health and 15-year mortality in a cohort of community-residing older people. Geriatr Gerontol Int 7:341-347, 2007
4) Fukai K, et al.:Mortalities of community-residing adult residents with and without dentures. Geriatr Gerontol Int 8:152-159, 2008
5) Fukai K, et al.:Associations between functional tooth number and physical complaints of community residing adults in a 15-year cohort study. Geriatr Gerontol Int 9:366-371, 2009
6) Fukai K, et al.:Critical tooth number without subjective dysphagia. Geriatr Gerontol Int 11:482-487, 2011
7) Fukai K, et al.:Dental health and longevity. Geriatr Gerontol Int 10:275-276, 2010
8) 深井穫博:わが国の成人集団における口腔保健の認知度および歯科医療の受容度に関する統計的解析.口腔衛生会誌48:120-142, 1998
9) 厚生労働省:平成23年歯科疾患実態調査.2012 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-23.html
10) 厚生労働大臣:歯科口腔保健の推進に関する基本的事項.官報(号外第158号).2012年7月23日
11) 深井穫博,他:過去50年間の日本人成人の年齢階級別現在歯数の分布および最適回帰式からみた歯の喪失パターン.厚生労働科学研修班歯科疾患の需要予測および患者等の需要に基づく適正な歯科医師数に関する研究 平成22年度総括分担報告書,2011年3月
12) 厚生労働省母子保健課・歯科保健課:3歳児一人平均むし歯数等の年次推移.2012
13) Saito T, et al.:The severity of periodontal disease is associated with the development of glucose intolerance in non-diabetics;the Hisayama study. J Dent Res 83(6):485-490, 2004
14) 西村英紀:歯周病予防と健康増進.健康保険9:32-36, 2012
15) Watt RG, et al.:Integrating the common risk factor approach into a social determinants framework. Community Dent Oral Epidemiol 40(4):289-296, 2012 Aug
16) 日本歯科医師会:標準的な成人歯科健診プログラム・保健指導マニュアル.平成21年7月https://www.jda.or.jp/program/(2011年4月1日にアクセス)
17) 埼玉県歯科医師会:日本歯科医師会「標準的な成人歯科健診プログラム・保健指導マニュアル」を用いた歯科診療室における保健指導の普及定着事業.財団法人8020推進財団平成22年度歯科保健活動助成事業報告書,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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