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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻3号

2013年03月発行

文献概要

特集 慢性腎臓病~CKD

慢性腎臓病(CKD)―新たな疾患概念の歴史とその意義

著者: 前島洋平1 槇野博史2345

所属機関: 1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科CKD(慢性腎臓病)・CVD地域連携・心腎血管病態解析学 2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学 3岡山大学病院 4岡山大学病院新医療研究開発センター 5岡山大学病院糖尿病センター

ページ範囲:P.186 - P.190

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はじめに

 慢性腎臓病(以下,CKD)は,2002年米国腎臓財団(NKF)によって,多くの腎疾患を包含する疾患概念として提唱され,蛋白尿など腎障害を示唆する所見あるいは腎機能の低下が,3か月以上持続する状態と定義されている1)(表).わが国でも日本腎臓学会を中心にCKD対策・CKD啓発活動が盛んに行われ,近年その重要性が広く認識されるようになった.CKDは,急増する末期腎不全(以下,ESKD)患者の予備軍であること,心血管疾患(以下,CVD)を併発し国民の健康に重大な影響を及ぼすこと,そしてその頻度が予想以上に高いことから,現在CKDへの対策が緊急の課題となっている.

 CKDは早期に発見し適切な治療介入を行うことで,ESKDへの移行を阻止し,CVDの発症を予防することが可能である.CKDの概念の導入により,腎臓病に対する認識が非腎臓専門医/かかりつけ医,保健師,栄養士,看護師,薬剤師等の医療従事者,さらには一般住民の間でも深まり,新たな国民病として社会をあげてその対策に取り組むことが,CKD患者の予後改善のために重要である.

参考文献

1) National Kidney Foundation:K/DOQI clinical practice guidelines for chronic kidney disease;evaluation, classification, and stratification. Am J Kidney Dis 39(Suppl 1):S1, 2002
2) 日本透析医学会統計調査委員会:図説 わが国の慢性透析療法の現況(2011年12月31日現在)
3) Imai E, et al.:Prevalence of chronic kidney disease in the Japanese general population. Clin Exp Nephrol 13:621, 2009
4) Imai E, et al.:Slower decline of glomerular filtration rate in the Japanese general population;a longitudinal 10-year follow-up study. Hypertens Res 31:433, 2008
5) Matsushita K, et al.:Association of estimated glomerular filtration rate and albuminuria with all-cause and cardiovascular mortality in general population cohorts;a collaborative meta-analysis. Lancet 375:2073-2081, 2010
6) 日本腎臓学会(編):CKD診療ガイド2012.東京医学社,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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