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特集 慢性腎臓病~CKD
慢性腎臓病(CKD)―新たな疾患概念の歴史とその意義
著者: 前島洋平1 槇野博史2345
所属機関: 1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科CKD(慢性腎臓病)・CVD地域連携・心腎血管病態解析学 2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学 3岡山大学病院 4岡山大学病院新医療研究開発センター 5岡山大学病院糖尿病センター
ページ範囲:P.186 - P.190
文献購入ページに移動慢性腎臓病(以下,CKD)は,2002年米国腎臓財団(NKF)によって,多くの腎疾患を包含する疾患概念として提唱され,蛋白尿など腎障害を示唆する所見あるいは腎機能の低下が,3か月以上持続する状態と定義されている1)(表).わが国でも日本腎臓学会を中心にCKD対策・CKD啓発活動が盛んに行われ,近年その重要性が広く認識されるようになった.CKDは,急増する末期腎不全(以下,ESKD)患者の予備軍であること,心血管疾患(以下,CVD)を併発し国民の健康に重大な影響を及ぼすこと,そしてその頻度が予想以上に高いことから,現在CKDへの対策が緊急の課題となっている.
CKDは早期に発見し適切な治療介入を行うことで,ESKDへの移行を阻止し,CVDの発症を予防することが可能である.CKDの概念の導入により,腎臓病に対する認識が非腎臓専門医/かかりつけ医,保健師,栄養士,看護師,薬剤師等の医療従事者,さらには一般住民の間でも深まり,新たな国民病として社会をあげてその対策に取り組むことが,CKD患者の予後改善のために重要である.
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