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特集 転換期の結核対策―医療と予防 地域の結核医療
③和歌山県の結核医療体制の現状と課題
著者: 駿田直俊1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構和歌山病院
ページ範囲:P.282 - P.286
文献購入ページに移動結核患者の減少が見られる中,以前と比べて,結核診療を行える施設および医療スタッフは少なくなってきている.しかし,いまだ年間2万2千人を超える新規患者が発生していること,高齢者が多く占めること,外国人結核の問題,発症数は少ないものの小児結核対策の重要性,またクオンティフェロンなどの新しい検査法の確立による潜在性結核治療対象患者の増加など,結核に対する新たな対策が必要となってきている.結核診療の現場では,結核患者の多くが高齢者であるということや,社会的弱者の存在など,服薬支援が重要となる対象者が増加し,治療終了までの患者との関わりの重要性が増している.
一方で,感染性の考え方の変化,倫理的観点などから,入院基準・退院基準が明確にされ,結核患者の入院期間が短縮化されている中,結核診療を行える専門施設が減少し,専門施設への通院アクセスの悪化,さらに種々の併発症を抱えて他の医療機関へ通院する必要性の増加,また日常活動でのケアを必要とする高齢者が多いことから,結核専門施設のみでの管理は困難なことが多いのが現状である.
そこで,地域の中での連携が重要となる.見直し版「結核に関する特定感染症予防指針」においても,個別患者の病態に応じて,結核専門施設を中心とした,地域での医療環境の整備の重要性が述べられている1).
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