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連載 公衆衛生Up-To-Date・4 [国立精神・神経医療研究センター発信:その2]
科学的根拠に基づく自殺予防総合対策のための学術団体の連携―コンソーシアムの設立
著者: 稲垣正俊1 竹島正1
所属機関: 1独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター
ページ範囲:P.331 - P.333
文献購入ページに移動わが国の自殺死亡率は人口10万人あたり年間約25人と,他の諸外国と比較して高い値で推移しています.平成24(2012)年の自殺者数はわずかに減少傾向が見られたものの,約3万人もの人が自殺により死亡しており,その問題は非常に大きいものと認識されています.
自殺のリスクとして,社会経済的問題が指摘されることが多いですが,社会経済的問題と自殺との間には,メンタルヘルス上の問題に対する支援の欠如があると言われています.社会経済的問題だけでなく,文化的な背景,安定した住居確保,収入の問題,教育の問題,犯罪の問題,さらには,孤立や虐待,家庭内の不和,幼少時期の養育の問題,性格等,様々な問題が,一部は直接に自殺のリスクとして影響しますが,多くは,メンタルヘルス上の問題として現れ,これら様々な問題に対する支援が得られない結果,自殺が生じると言われています.
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