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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻5号

2013年05月発行

文献概要

特集 若者の精神保健①

ひきこもりと不登校

著者: 斎藤環1

所属機関: 1筑波大学医学系社会精神保健学

ページ範囲:P.355 - P.359

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はじめに

 「不登校」および「ひきこもり」は,いずれも診断名や臨床単位ではない.思春期・青年期における広義の不適応状態を意味する言葉である.「不登校」は,主として小・中学生に対して用いられるが,同様の状態は高校生,大学生,大学院生にも既に珍しいものではない.登校をめぐる,主に心理・社会的な葛藤から登校ができなくなるものであり,長期化するにつれて,後述するひきこもり状態,あるいは家庭内暴力,自殺企図といった問題行動に至る場合もある.

 また「ひきこもり」は,現在数十万~百万人という規模で存在し,依然として増加傾向が続いていると考えられる.既にわが国の社会問題の1つと認識されており,政策レベルでさまざまな対策が講じられてきたが,いまだ十分な支援がなされているとは言い難い.本稿では「不登校」と「ひきこもり」の関係性と,それぞれに対する基本的な考え方と対応方針について述べる.

参考文献

1) 文部科学省:学校基本調査―平成24年度(確定値)結果の概要.(http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1329235.htm)
2) Johnson AM, et al:School Phobia. American Journal of Orthopsychi atry 11:702-711, 1941
3) Kahn JH, et al:School refusal:A comprehensive view of school phobia and other failures of school attendance. American Journal of Orthopsychiatry 32:707-717, 1962
4) Hersov LA:Persistent non-attendance at school. Journal of Child Psychology and Psychiatry 1:130-136, 1960
5) 文部科学省:登校拒否問題への対応について.(http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19920924001/t19920924001.html)
6) 山登敬之:不登校,臨床精神医学講座18巻 家庭・学校・職場・地域の精神保健,中山書店,1998
7) 斎藤環:社会的ひきこもり,PHP研究所,1998
8) 文部科学省:「不登校に関する実態調査」(平成五年度不登校生徒追跡調査報告書)について.(http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t20010912001/t20010912001.html)
9) 内閣府:若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査.(http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/pdf_gaiyo_index.html)
10) 厚生労働省:ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン.2010
11) 斎藤環:ひきこもり救出マニュアル,PHP研究所,2002
12) 斎藤環,他:後期思春期・早期成人期のひきこもりに対する精神医学的治療・援助に関する研究.厚生労働科学研究費補助金 こころの健康科学研究事業 思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究,2010
13) 厚生労働省:ホームレスの実態に関する全国調査,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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