icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻8号

2013年08月発行

文献概要

連載 この人に聞きたい!・5

疲労とは何か―疲労を客観的に評価する

著者: 倉恒弘彦123

所属機関: 1関西福祉科学大学健康福祉学部 2大阪市立大学医学部疲労クリニカルセンター 3東京大学大学院農学生命科学研究科

ページ範囲:P.666 - P.670

文献購入ページに移動
疲労感,倦怠感とは

 疲労感や倦怠感は,人間にとって痛みや発熱などと同じように体の異常や変調を自覚するための重要なアラーム信号の1つであり,健康な人でも,激しい運動や長時間の労作を行った場合,また過度のストレス状況に置かれた場合などに,「だるい」,「しんどい」という感覚でそれを自覚し,体を休めるきっかけとなっている.

 激しい運動や長時間の作業をしていると,体の細胞レベルではたんぱく質や遺伝子に傷が増えてくる.限界以上に増えると細胞は破壊されるので,傷を修復する必要がある.しかし,活動を続けたままでは細胞内のエネルギーをタンパク質や遺伝子の修復をするために利用できない.そこで,ヒトは疲労感の助けによって休息を取り,体を元の健康な状態に戻しているのである.

参考文献

1) 木谷照夫:疲労の定義.日本疲労学会誌6(2)1, 2011
2) 簑輪眞澄,他:疲労の実態調査と健康づくりのための疲労回復に関する研究.地域における疲労の実態とリスクファクター.愛知県豊川保健所管内の2市4町実態調査.厚生科学研究費補助金健康科学総合研究事業平成11年度研究業績報告書.pp19-44, 2000
3) 倉恒弘彦:慢性疲労症候群の実態調査と客観的診断法の検証と普及.厚生労働科学研究(障害者対策総合研究事業(神経・筋疾患分野))平成24年度研究業績報告書(印刷中)
4) Kuratsune D, et al:Changes in reaction time, coefficient of variance of reaction time, and autonomic nerve function in the mental fatigue state caused by long-term computerized Kraepelin test workload in healthy volunteers. World Journal of Neuroscience 2:113-118, 2012
5) 倉恒弘彦:慢性疲労症候群と自律神経.自律神経50(1):36-39, 2013
6) 倉恒弘彦:平成23年度厚生労働科学研究(障害者対策総合研究事業)(神経・筋疾患分野)平成21~23年度総合研究報告書.自律神経機能異常を伴い慢性的な疲労を訴える患者に対する客観的な疲労診断法の確立と慢性疲労診断指針の作成.pp1-114, 2012
7) Cole RJ, et al:Automatic sleep/wake identification from wrist activitiy. Sleep 15(5):461-469, 1992
8) Drug Development for Myalgic Encephalomyelitis and Chronic Fatigue Syndrome(ME and CFS)http://www.fda.gov/Drugs/NewsEvents/ucm319188.htm
9) 倉恒弘彦,他:慢性疲労症候群(CFS)診断基準(平成25年3月改訂)の解説.日本疲労学会誌8(2):1-7, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら