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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻9号

2013年09月発行

文献概要

特集 衛生行政を担う人材―獣医師・薬剤師

戦前の衛生行政における獣医師・薬剤師の役割

著者: 横田陽子1

所属機関: 1立命館大学生存学研究センター

ページ範囲:P.702 - P.705

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戦前の中央・地方の衛生行政組織

 戦前の日本において,衛生行政に従事する技術者には,医師,薬剤師および獣医師がいた.このなかで医師は,その創設期に主導的役割を果たし,また明治期から戦前の昭和期を通じて,まずコレラ,ペストが,後に結核,腸チフスなど伝染病対策が重視されたこともあり,衛生行政の技術者のなかで主導権を堅持した.一方,衛生行政には伝染病などの対人以外に対物分野もあり,これらは薬剤師・獣医師が担った.ここでは戦前期の衛生行政のなかで周辺に位置付けられる業務に従事した,薬剤師・獣医師を中心に述べる.

 戦前の衛生行政の組織機構を概観しておくと,中央で衛生行政を担当したのは,1875年創設の内務省衛生局である.内務省(1873年創設)は内政全般を管掌した中央官庁であり,地方事務を専管する県治局と警察行政を司る警保局がその中心であって,衛生局は内務省の一隅を占めるにすぎなかった.1938年に至り,内務省衛生局と同外局の社会局が統合されて旧厚生省が創設される.

参考文献

1) 谷岡忠二(編):日本薬剤師会史―明治初期,明治中期.日本薬剤師会,1973
2) 横田陽子:技術からみた日本衛生行政史―1章.晃洋書房,2011
3) 獣医免許規則及獣医開業試験規則ヲ定ム.公文類聚・第9編・明治18年・第17巻・衛生・衛生総~病院,警察・警察総~雑載,….国立公文書館
4) 中村洋吉:獣医学史,3版.養賢堂,1990
5) 勝島仙之介:国家獣医学並ニ獣医学ト公衆衛生トノ関係.中央獣医会雑誌6:1-14, 1893
6) 津野慶太郎:市乳警察論.東京獣医新報社,1892
7) 屠畜取締ニ関スル職員ノ件・御署名原本・明治39年・勅令第171号.国立公文書館
8) 大阪市立衛生研究所:事業沿革誌―創立五十周年記念.大阪市立衛生研究所,1956
9) 横田陽子:技術からみた日本衛生行政史―3章4節.pp.100-104,晃洋書房,2011
10) 日本獣医公衆衛生史編集委員会(編):日本獣医公衆衛生史―記述編.日本食品衛生協会,1991
11) 横田陽子:技術からみた日本衛生行政史―4章.pp.142-143,晃洋書房,2011
12) 尾崎嘉篤:公衆衞生の戰後10年―食品衞生.公衆衛生学雑誌2:746-749, 1955

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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