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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生77巻9号

2013年09月発行

文献概要

視点

ビッグ・データ時代の臨床研究と公衆衛生への期待―医学への敬意,医療への感謝,研究への希望

著者: 佐瀬一洋1

所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科臨床薬理学

ページ範囲:P.698 - P.699

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ビッグ・データ時代の臨床研究

 いわゆるビッグ・データの時代を迎え,医学の創造的破壊が話題となっている1).世界に先駆けて高齢化社会を迎えた日本では,がん,血管病,認知症の増加といった大きな困難に直面することが予想され,予防・診断・治療・介護のすべてにわたり,持続可能な社会保障システムの構築が急務である.一方,科学技術,特にライフサイエンス分野では,ヒトゲノム解読やiPS細胞開発に象徴されるように,偶発的な発見の積み重ねから組織的な価値の創造へとパラダイム・シフトが進み,それに伴い臨床研究も疾患志向型研究から患者志向型研究へと大きく変貌を遂げつつある.

 公衆衛生は,近代化を図る中で,国民の健康な生活を確保するための医療および保健指導として大きく発展してきたが,情報通信技術の発展や疾病構造の変化を踏まえ,疫学や医療統計学をはじめとする方法論を核とした社会健康医学(パブリック・ヘルス)として,さらなる活躍が期待されている.

参考文献

1) Topol E:The Creative Destruction of Medicine:How the Digital Revolution Will Create Better Health Care. Basic Books, 2012
2) Nabel EG, et al:A tale of coronary artery disease and myocardial infarction. N Engl J Med 366:54-63, 2012
3) 佐瀬一洋:抗血小板療法のレギュラトリーサイエンス.日本血栓止血学会雑誌24:269-281, 2013
4) 佐瀬一洋:医療機器の市販後安全監視イノベーション.医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス44:57-62, 2013
5) Clark MA, et al:Soft-tissue sarcomas in adults. N Engl J Med 353:701-711, 2005
6) Mirnezami R, et al:Preparing for precision medicine. N Engl J Med 366:489-491, 2012
7) Garnett MJ, et al:Systematic identification of genomic markers of drug sensitivity in cancer cells. Nature 483:570-575, 2012
8) マイケル・ポーター(著),山本雄士(訳):医療戦略の本質―価値を向上させる競争.日経BP社,2009
9) Normile D:Tampered Data Cast Shadow on Drug Trial. Science 341:223, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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