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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生78巻1号

2014年01月発行

文献概要

特集 公衆衛生の原点を学ぶ―イギリスの挑戦

NHS改革による地方自治体を基盤とする新たな地域保健体制の確立に向けて

著者: 堀真奈美1

所属機関: 1東海大学教養学部人間環境学科

ページ範囲:P.14 - P.19

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はじめに

 イギリス注1)では,国営のNHS(National Health Service)制度により原則無料で予防から治療,リハビリを含む包括的な医療サービスをすべての国民に提供している1).1948年のNHS創設時のNHS法(1946年制定)でも,「疾病予防・ケア・アフターケア」という項目があり,創設当初より,治療のみならず包括的な医療を指向していることが明らかである注2).その後もNHSは度重なる制度改革が行われてきたが,原則無料で包括的な医療を提供するという制度の根幹に変更はない.

 だが,これまでの政権交代などに伴う組織機構改革により,疾病予防を含む地域保健における中心的役割を担う機関は,同一ではない.直近のキャメロン改革により,2013年3月までは,プライマリケアトラスト(primary care trust;PCT)と呼ばれるNHS傘下の公的組織が中心的な役割を担ってきたのだが,同年4月以降,公衆衛生,疾病予防を含む地域保健の権限,財源は,地方自治体(local authorities)に完全に移行されることになった.本稿では,新たに責任主体となった地方自治体がどのように地域保健体制を構築しつつあるのかを述べる.

参考文献

1)白瀬由美香:イギリスにおける地域保健サービスの形成,大原社会問題研究所雑誌586・587:34-46, 2007
2)堀真奈美:イギリスの医療制度改革はどこに向かうのか(6)キャメロン連立政権の誕生と組織・機構改革.文化連情報425:42-46, 2013
3)堀真奈美:変わりゆく英国NHS:キャメロン政権下の組織・機構改革.週刊社会保障66(2692):50-55, 2012
4)Department of Health:Equity and Excellence:Liberating the NHS, 2010
5)Department of Health:White Paper:Healthy Lives, Healthy People:our strategy for public health in England, 2011
6)Department of Health:The Public Health Outcomes Framework for England, 2013-2016, 2012
7)District Council's Network:District Action on Public Health, 2012
8)NHS Confederation:The Joint Strategic needs assessment, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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