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雑誌目次

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公衆衛生78巻2号

2014年02月発行

雑誌目次

特集 予防接種

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ページ範囲:P.69 - P.69

 先進諸国と比べ,公的に接種するワクチンの種類が少ない,いわゆる「ワクチンギャップ問題」の解消や予防接種制度の幅広い見直しが求められていたことから,今般,予防接種法の改正がなされ,平成25(2013)年4月から施行されています.

 この改正により,12年ぶりに,子宮頸がん予防ワクチン,ヒブワクチン,小児用肺炎球菌ワクチンの3ワクチンによる予防接種が定期接種に追加されるとともに,制度面では,国による「予防接種基本計画」の策定,副反応報告制度の法定化などが新たな項目として規定されました.

予防接種と公衆衛生

著者: 岡部信彦

ページ範囲:P.70 - P.74

予防接種・ワクチンのはじまり

 予防接種とはあらかじめヒト(あるいは動物など)に免疫(immunity)をつけ,感染症から防ぐ行為をいい,その時に用いるいわばツールが「ワクチン(vaccine)」という医薬品である.「ワクチンで予防接種を行う」ということであるが,実際には「ワクチンを受ける」,「予防接種を受ける」は同じように使われる.英語もimmunization, vaccinationは同じように使用されている.イギリスの医学者Edward Jennerが,牛痘(cowpox:ラテン語でvaccinia.vaccaは雌牛cowのこと)からヒトの天然痘を予防することが可能であることを証明したことが予防接種の始まりであるとされているが,ここからvaccineという言葉が始まっている.

予防接種行政に求められていること

著者: 中山ひとみ

ページ範囲:P.75 - P.79

はじめに

 もう15年も前のことになるが,急性脳症で死亡したお子さんの両親から,治療行為が適切でなかったために死亡したのではないか,という相談を受けたことがある.医療過誤の疑いの相談を受けた場合,弁護士はカルテを入手し,医学文献を調べながら問題点を整理するのだが,所詮,医学的には素人に過ぎないので専門家の協力を仰ぐことになる.小児科の専門医は,高熱を発してからの治療行為に不適切な点はなく,死亡という結果は不可抗力だとの見解であった.「ワクチンさえ打っておけば助かった」と言った専門医の残念そうな表情が今も忘れられない.その際,いかに日本がワクチン後進国であるかというご意見も拝聴した.

 その一方で,予防接種により,重篤な副作用・副反応が生じることも事実である.予防接種によって被害を受けた児やその家族が,いかに悲惨な状況におかれ,人生を狂わされたかということは,裁判記録を見れば明らかである.死亡や重篤な後遺障害が生じた者やその家族にとっては,まさに「予防接種さえ受けなければ」ということになるのであろう.

 予防接種行政に何が求められるかは,端的にいえば,上記のように予防接種を受けられなかった場合の「被害」と,受けた場合の「被害」を最小限にすることに尽きると考えられる.

予防接種とこどもの健康―接種スケジュール

著者: 田中敏博

ページ範囲:P.80 - P.85

はじめに

 生まれたばかりの児とその保護者にとって予防接種は,1ヶ月健診の次に迎える公的かつ医学的なイベントである.つい数年前までは生後3ヶ月からの三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風:DPT)の接種が最初であることが一般的で,「3~4ヶ月健診のついでに初めての予防接種」ということも少なくなかったようである.長く続いたこの慣習は,2008年末のインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチン,次いで2010年初めの小児用肺炎球菌ワクチンの本邦への導入が潮目となって,大きく変化を求められる事態となっている.また,その後のロタワクチンの導入や生から不活化へのポリオワクチンの切り替え,さらにそれを含む四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風:DPT・DPT-IPV)の登場,小児用肺炎球菌ワクチンの7価から13価(PCV13)への切り替えと続き,かつてないスピードでの対応が迫られている現状である.

 本稿では,感染症が比較的よく制御されているわが国の現状において,ともすれば見失いがちな予防接種の意義に着目して,そのスケジュールと,これと大きく関連する同時接種を中心に概説する.

副反応報告と救済制度

著者: 多屋馨子

ページ範囲:P.86 - P.92

はじめに

 2013年3月30日に予防接種法の一部が改正され,2013年4月1日から施行された(法律第8号).この改正で,予防接種後副反応報告が病院,あるいは診療所の開設者,または医師に義務づけられた.予防接種後の一定期間に,政令で定められた症状が認められた場合や,重篤な有害事象が認められた場合は,厚生労働大臣に予防接種後副反応報告書を提出する.本稿ではその制度と,別に定められている健康被害救済制度について概要を記述する.

ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチン

著者: 齋藤昭彦

ページ範囲:P.93 - P.96

はじめに

 インフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae type b;Hib)に対するヒブワクチン,肺炎球菌の特定の血清型に対する小児用結合型肺炎球菌ワクチン(Pneumococcal Conjugate Vaccine;PCV)は,それぞれ2008年と2010年に国内に導入された.ワクチンギャップという言葉に代表されるように,両ワクチンは,海外での導入時期と比べ,大きな遅れをとった1)が,2011年2月から両ワクチンの公費助成が始まり,2013年4月には定期接種化され,そのギャップを一気に埋めることに成功した.この数年で,大きな動きのあった両ワクチンであるが,その疾患の疫学にも大きな変化がみられている.

子宮頸がん予防ワクチン

著者: 戸澤晃子 ,   鈴木直

ページ範囲:P.97 - P.102

はじめに

 子宮は,子宮下部の管状の部分を子宮頸部,子宮上部の袋状の部分を子宮体部と呼び,それぞれの部位に生じるがんは子宮頸がん,子宮体がんに分類される(図1).子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占めており,以前は発症のピークが40~50歳代であったが,近年は20~30歳代の発症が増加し,30歳代後半がピークとなっている1).妊娠出産の高齢化に伴い,妊孕性温存の必要がある年齢に発症頻度が高いことが社会的にも問題になっている.

 子宮頸がんは,ほとんどの発生原因がヒトパピローマウイルス(human papillomavirus;HPV)の持続感染であり,100種以上存在するHPVのうち発がん高リスクのhigh-risk HPV(16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68,73,82型;日本では,HPV16,18,31,33,35,52,58型の7タイプが特に高リスク)感染であることが明らかになった(図2)2)

 このウイルスは女性の約80%において一過性の感染であり,high-risk HPVに感染しても2年以内に90%は自然消退することが報告されている.10%は感染が長期間持続し,前がん病変である異型細胞が増殖する.この感染が持続し,自然に治癒しない場合は,子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia;CIN:CIN 1, CIN 2, CIN 3)となり,さらに進行すると子宮頸がんとなる.つまりhigh-risk HPV感染のうち最終的に子宮頸がんに至るのは0.06%であり,頻度は低い3).しかし,子宮頸がんの原因がhigh-risk HPV感染であることから,発がん予防として感染そのものを予防するワクチン開発がなされ,接種されるようになった.

 子宮頸がんワクチンにはhigh-risk HPVの16型,18型を予防する効果がある.これまでの子宮頸がん予防は,細胞診などの検診により早期発見する方法しか存在しなかったが,一次予防が現実のものとなっている4,5).わが国でもHPV 16/18型に対する2価ワクチン(サーバリツクス®と尖圭コンジローマの原因であるHPV 6/11型の予防も含まれた6/11/16/18型に対する4価ワクチン(ガーダシル®)が市販され,いずれもわが国で接種が行われている.

BCG接種

著者: 徳永修

ページ範囲:P.103 - P.108

BCGワクチン接種の目的・有効性

 BCGワクチンはウシ型結核菌を継代培養し,弱毒化して開発した生菌ワクチンであり,第二次世界大戦後,結核発病予防を目的としたワクチンとして多くの国々に普及した.BCGワクチンによる結核発病予防効果に関しては,これまで多くのrandomized controlled study(RCS)やcase-control study(CCS)によって検討されてきたが,それらの結果は高い有効性を認めたもの1)から「全く効果を認めなかった」とするもの2)までさまざまであった.

 Colditzら3,4)は,これらBCGワクチンの発病予防効果に関する研究報告結果を対象としたメタ解析を行い,「結核性髄膜炎や粟粒結核などの重症結核には70~80%の高い有効性を認め,肺結核においても約50%の発病予防効果(新生児・乳児を対象としては74%)を認める」と報告し,現在はこの報告がBCGワクチン有効性評価に関する世界的なコンセンサスとなっている(表1).

ポリオ根絶に向けた世界の現状と不活化ポリオワクチンの導入

著者: 中野貴司

ページ範囲:P.109 - P.115

はじめに

 定期予防接種の対象疾患であるポリオについては,それまで使われていた経口生ポリオワクチン(oral poliovirus vaccine;OPV)に代わって,2012年9月に不活化ポリオワクチン(inactivated poliovirus vaccine;IPV),同年11月にはDPT(Diphtheria, Pertussis, Tetanus)との混合製剤である四種混合ワクチン(DPT-IPV)が導入された.

 ポリオウイルス感染症に対する特異的な治療法はなく,ワクチンの開発は人類が長年待ち望んだ夢であった.生・不活化共に,極めて有効で安全なワクチンと位置づけられ,ポリオは代表的なワクチンで予防することが可能な疾患(vaccine-preventable disease;VPD)である.また,これらワクチンの導入と変遷の国内外での過程は,私たちに予防接種に関するさまざまな示唆を与えてくれる.さらに,ワクチンにより病原体を完全に封じ込める目標として,天然痘に次いでポリオ根絶への達成が期待される.

視点

あの大震災が公衆衛生に変革をもたらす

著者: 鈴木宏俊

ページ範囲:P.66 - P.67

はじめに

 国民の健康を取り巻く状況が大きく変化し,生活の基盤である社会制度が変貌する中で,住民の生命と生活を守るために保健所が果たしてきた役割はかけがいのないものであり,歴史的アイデンティティがありました.

 今回は,公衆衛生のアイデンティティを浮き彫りにするために,公衆衛生の原則とは何かを考えてみます.

連載 この人に聞きたい!・11

花粉症治療最前線―スギ・ヒノキ花粉飛散状況の変化と新たな治療戦略について

著者: 大久保公裕

ページ範囲:P.116 - P.120

はじめに

 アレルギー性鼻炎は喘息やアトピー性皮膚炎と同じアレルギー疾患であるが,唯一の純粋なI型アレルギー疾患であり,治癒が難しいうえに,重症化しQOLの低下を生じさせる.このため治癒とコントロールによって患者のQOLや生産性を低下させないことが,重要である.近年ではこのアレルギー性鼻炎の中でも罹患率が高く,重症化するスギ・ヒノキ花粉症が問題になっている.現在のスギ・ヒノキ花粉症の特徴としては,①飛散数の増加,②飛散季節の延長,③ヒノキ飛散の影響の増加,④罹患人口の増加,⑤ガイドライン改訂による治療法の選択の幅の増加,⑥舌下免疫療法の適応,などが挙げられる.

 スギ・ヒノキ花粉症の現在の問題点は大まかに分けると,「花粉飛散数の増加と罹患人口の増加」,「治療の進歩」に分けられる.実際のデータは少ないが,これらに関して考えてみたい.

講座/健康で持続的な働き甲斐のある労働へ―新しい仕組みをつくろう・23

―企業の労働CSR強化の方向性と労使関係の今後の在り方―真に社会的パートナーになりうるには?

著者: 吾郷眞一

ページ範囲:P.121 - P.124

はじめに

 職業に就く過程および働き続ける過程での労働基本権が保障されること,いったん職業に就いた後の職場において労働条件が適切なレベルで維持されること,そして労働終了後の手当てが十分になされていることが,労働する者にとって健康で安全な生活を営むための条件である.

 いろいろな法,特に社会法(労働法・社会保障法)と言われるものが,旧来それを担保する仕組みとされていた.それは産業構造において組織労働者が中心的な役割を果たし,労働組合権が守られて自由な労使協議の下に労働条件が決定される前提で機能する仕組みであった.現在でも社会法の基本的役割は変わらないものの,経済のグローバル化による産業構造の変化に伴い非正規労働が増え,法律でカバーできる領域に限界が出てくると,他の方法による労働条件の確保も必要になる.この状況の中で注目され始めたのが企業の社会的責任(corporate social responsibility;CSR)という法の枠を超えた手段による目的の達成である.

公衆衛生Up-To-Date・13 [国立医薬品食品衛生研究所発信:その1]

医薬品の発がん性不純物の評価と管理に関するガイダンス

著者: 阿曽幸男

ページ範囲:P.125 - P.129

はじめに

 化学的に合成された医薬品にはその合成に用いられる出発物質や試薬,反応中間体,反応副生成物,出発物質や試薬に含まれる不純物,保存中に生成する分解物などが不純物として混在しうる.化学合成医薬品の不純物に関するガイダンスとして,日・米・EUの三極で国際調和された日米EU医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use;ICH)Q3A/Q3B/Q3C1~3)がある.

 ほとんどの不純物の安全性確認および管理については,ICH Q3A(R2):「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドライン」,およびQ3B(R2):「新有効成分含有医薬品のうち,製剤の不純物に関するガイドライン」によって指針が与えられている.また,原薬または医薬品添加物の製造工程あるいは製剤の製造工程で使用されるか生成する揮発性有機化学物質に関してはICH Q3C:「医薬品の残留溶媒ガイドライン」に安全性データに基づきその許容量が勧告されている.

 一方,医薬品の有機不純物の中にはDNAと反応してDNAにダメージを与え,発がんリスクを高める可能性のある不純物がある.これらの不純物には発がん性のデータがないものが少なくなく,その発がん性を評価するためには時間を要する.また,DNAと反応してがんを引き起こす不純物の毒性発現には閾値がないと考えられていることから,不純物のレベルをどこまで下げるべきかについての明確な指針が必要となる.そこで,不純物の構造をもとにDNA反応性(変異原性)の評価を行い,変異原性があるとわかった不純物に対して発がん性不純物として管理するという戦略のもと,現在,発がんリスクを有する可能性のあるDNA反応性(変異原性)不純物の評価と管理に関するガイダンス(ICH M7ガイドライン)の制定に向けた作業が進められている.

 本稿においては,ICH M7 step2文書4)に基づきガイドラインの要となる,毒性学的懸念の閾値(Thresholds of Toxicological Concern;TTC)に基づく安全とみなしうるレベルの設定,不純物が変異原性を有するかの評価,不純物の管理を中心に概説する.なお,本稿で述べた内容は今後のガイドライン制定作業において変更される可能性のあることを申し添える.

リレー連載・列島ランナー・59

大規模災害時に向け地域力アップ―健康危機管理サポーター養成講座に取り組んで

著者: 日髙橘子

ページ範囲:P.130 - P.133

取り組みのきっかけ

 筆者は名古屋市,陸前高田市丸ごと支援の第1陣として,2011(平成23)年4月22日から岩手県陸前高田市へ1年間派遣されることとなった.保健師の長期派遣は全国的にも初めてのことであり,手探りの中で1年間活動してきた.

 今回の大震災は,行政機能が麻痺するなど被害が甚大で広範囲なために,復旧・復興が長期化し,いままでの災害後の保健事業の構築など,行政機関だけでは対応できないという限界を行政職員だけでなく,住民も経験した.その状況から,震災後「家族の絆」,「地域の絆」という言葉が取り上げられた.

衛生行政キーワード・93

予防接種制度の改正について

著者: 氏家無限

ページ範囲:P.134 - P.136

はじめに

 予防接種法が制定されたのは,第二次世界大戦直後の混乱期の中でさまざまな感染症が猛威をふるっていた1948(昭和23)年であった.当時は,疾病予防という公衆衛生の観点から,予防接種を普及させることが急務であり,予防接種を怠る者には罰則規定が設けられており,集団による予防接種が行われていた.その後,公衆衛生の整備や医療の進歩に伴い感染症患者が減少する一方,昭和40年代前半のいわゆる種痘禍を契機として,予防接種により不可避的に生じうる副反応による健康被害の問題に注目が集まるようになった.

 1976(昭和51)年の予防接種法改正により,健康被害救済制度が創設されるとともに,予防接種を受ける義務に違反した場合の罰則規定が原則として廃止された.さらには,予防接種禍訴訟における司法判断などを受けて,より個人の意思を反映できる制度が求められるようになり,1994(平成6)年の予防接種法改正により,予防接種を受ける法的義務は廃止され,努力規定へと変更された.

 その後,安全性を重視したことから,予防接種を推進する社会的な機運は醸成されない中,新たなワクチンの開発や定期接種ワクチンの導入が進まず,他の先進諸国と比べて公的なワクチンが少ない,いわゆる「ワクチンギャップ」が生じた.しかし,2009(平成21)年に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)に対して緊急的な予防接種の対応が求められたことを契機に,予防接種の有効性に対して再び大きな注目が集まり,ワクチンギャップの解消に向けた予防接種制度を整備することの重要性が認識されるようになった.

 本稿では,こうした背景から,2013(平成25)年3月に改正に至った予防接種法について述べるとともに,昨今の予防接種行政に関する取組について紹介する.

映画の時間

―人生最弱の仲間と人生最高の舞台へ―グォさんの仮装大賞

著者: 桜山豊夫

ページ範囲:P.137 - P.137

 妻に先立たれたグォさんは住居を妻の連れ子に譲り,カバン1つで家を出ます.実の子との関係もずっと断絶しているようで,行くところもなく,老人ホームにいる友人のチョウさんを訪ねます.老人ホームは定員いっぱいで,新規の入所は不可能でしたが,チョウさんは自分の部屋にグォさんを同居させます.

 退屈な老人ホームの生活ですが,チョウさんはホームの仲間たちにテレビの「仮装大賞」への参加を提案します.ホームからテレビ局のある天津までは距離があり,施設長は参加を認めません.しかしグォさんやチョウさんは諦めません.一計を案じてホームを脱出し天津に向かいます…….

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投稿規定 フリーアクセス

ページ範囲:P.138 - P.138

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.139 - P.139

あとがき フリーアクセス

著者: 成田友代

ページ範囲:P.140 - P.140

 今回の予防接種法の改正では,新たに3つのワクチンが定期接種に追加されたことに加え,国による「予防接種基本計画」の策定が規定されるなど,近年にない大改正となりました.改正法成立から施行まで数日であり,法定接種の実施主体である区市町村では,住民への周知や実施体制の整備など施行に向けた準備に追われ,ようやくスタートした新制度でした.

 しかしながら,子宮頸がん予防ワクチン接種後に,ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がみられたことから,新制度開始から2か月半で,国からの勧告があり,子宮頸がん予防ワクチンの接種勧奨を控える事態となりました.皆様ご存知のとおり,現在,厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において,その安全性について検討中であり,現時点では結論には至っていません.当該ワクチンを推奨する・しない,それぞれの立場から行政にも多くのご意見が寄せられ,改めて予防接種の効果と副反応について考えさせられました.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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