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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生78巻3号

2014年03月発行

文献概要

特集 出生前診断

遺伝カウンセリング

著者: 三宅秀彦12 小杉眞司12

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 健康管理学講座 医療倫理学・遺伝医療学 2京都大学医学部附属病院遺伝子診療部

ページ範囲:P.167 - P.171

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出生前診断と遺伝カウンセリング

 胎児は,自らの意志で自己決定ができない存在であり,本邦での法律では人間としての立場も曖昧な存在である.このような胎児という存在を対象とした診断が,出生前診断である.一般的な診療では,診断に引き続き治療という流れになるが,出生前診断においては,治療ではなく人工妊娠中絶という選択肢も存在している.これには,いくつかの意見はあるが,基本的に女性のリプロダクディブライツと胎児の生存権の衝突をもたらす.また,胎児に対する診断においては,検査手段や診断方法の限界があるため不確定要素も多い.

 以上に挙げたような特性により,出生前診断にかかわる選択においては,両親にとって大きな葛藤が生じ,大きな精神的重圧となりうる.また,この生命の選択に対する葛藤は,両親だけでなく医療者自身にふりかかってくる問題でもある.よって,出生前診断においては,生命倫理的な配慮が必要となる.

参考文献

1)Wertz DC, et al:Review of Ethical Issues in Medical Genetics. World Health Organization, 2003 (http://www.who.int/genomics/publications/en/ethical_issuesin_medgenetics%20report.pdf)
2)日本産科婦人科学会:出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解.2013 (http://www.jsog.or.jp/ethic/H25_6_shusseimae-idengakutekikensa.html)
3)日本医学会:医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン.2011 (http://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis.pdf)
4)坂野雄二:臨床心理学の考え方.ベーシック現代心理学 臨床心理学.坂野雄二,他(著).pp8-35,有斐閣,1996
5)Drotar D, et al:The adaptation of parents to the birth of an infant with a congenital malformation:a hypothetical model. Pediatrics 56(5):710-717, 1975
6)中田洋二郎:親の障害の認識と受容に関する考察―受容の段階説と慢性的悲哀.早稲田心理学年報27:83-92, 1995
7)Benn PA, et al:Prenatal diagnosis of chromosomal abnormalities through amniocentesis. Genetic Disorders and the Fetus. 6th ed. Aubrey Milunsky, Jeff Milunsky, pp.194-272. Wiley-Blackwell(Oxford), 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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