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文献概要
特集 出生前診断
遺伝カウンセリング
著者: 三宅秀彦12 小杉眞司12
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 健康管理学講座 医療倫理学・遺伝医療学 2京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
ページ範囲:P.167 - P.171
文献購入ページに移動胎児は,自らの意志で自己決定ができない存在であり,本邦での法律では人間としての立場も曖昧な存在である.このような胎児という存在を対象とした診断が,出生前診断である.一般的な診療では,診断に引き続き治療という流れになるが,出生前診断においては,治療ではなく人工妊娠中絶という選択肢も存在している.これには,いくつかの意見はあるが,基本的に女性のリプロダクディブライツと胎児の生存権の衝突をもたらす.また,胎児に対する診断においては,検査手段や診断方法の限界があるため不確定要素も多い.
以上に挙げたような特性により,出生前診断にかかわる選択においては,両親にとって大きな葛藤が生じ,大きな精神的重圧となりうる.また,この生命の選択に対する葛藤は,両親だけでなく医療者自身にふりかかってくる問題でもある.よって,出生前診断においては,生命倫理的な配慮が必要となる.
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