文献詳細
特集 自殺・自死対策
文献概要
はじめに
自殺未遂者が再び自殺を図る危険性は,非未遂者に比べ著しく高い.また,自殺未遂の頻度は自殺既遂の10~20倍と推定されている1,2).そのため,未遂者支援は自殺対策上極めて重要であり,2006年の自殺対策基本法,2007年の自殺総合対策大綱でも重点課題として位置づけられた.
その後,今日までの間に,未遂者の実態把握に向けて救急医療機関を対象にした調査などが数多くなされてきた.そして,厚生労働科学研究費補助金を活用して,地域の精神保健福祉相談担当者向けに「自殺に傾いた人を支えるために―相談担当者のための指針(以下,指針)」や,救急医療従事者向けに「自殺未遂患者への対応:救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引き」,精神科救急医療従事者向けに「精神科救急医療ガイドライン(自殺未遂者対応)」が作成され,これらのテキストを用いた研修会も開催されてきた.また,地域での未遂者支援活動を含む包括的な取り組みにかかる「地域における自殺対策プログラム」なども作成されており,これらの資料は,厚生労働省の自殺予防対策ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/)から入手できる.
そこで,本稿では,これまでの未遂者支援にかかる取り組みの成果をふまえつつ,今後の地域のプライマリケア従事者による未遂者支援のあり方を整理する.
自殺未遂者が再び自殺を図る危険性は,非未遂者に比べ著しく高い.また,自殺未遂の頻度は自殺既遂の10~20倍と推定されている1,2).そのため,未遂者支援は自殺対策上極めて重要であり,2006年の自殺対策基本法,2007年の自殺総合対策大綱でも重点課題として位置づけられた.
その後,今日までの間に,未遂者の実態把握に向けて救急医療機関を対象にした調査などが数多くなされてきた.そして,厚生労働科学研究費補助金を活用して,地域の精神保健福祉相談担当者向けに「自殺に傾いた人を支えるために―相談担当者のための指針(以下,指針)」や,救急医療従事者向けに「自殺未遂患者への対応:救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引き」,精神科救急医療従事者向けに「精神科救急医療ガイドライン(自殺未遂者対応)」が作成され,これらのテキストを用いた研修会も開催されてきた.また,地域での未遂者支援活動を含む包括的な取り組みにかかる「地域における自殺対策プログラム」なども作成されており,これらの資料は,厚生労働省の自殺予防対策ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/)から入手できる.
そこで,本稿では,これまでの未遂者支援にかかる取り組みの成果をふまえつつ,今後の地域のプライマリケア従事者による未遂者支援のあり方を整理する.
参考文献
1)世界保健機関(WHO)編,中野善達監訳:世界の精神保健,精神障害,行動障害への新しい理解,明石書店,東京,2004
2)河西千秋:自殺対策における一般救急医療従事者と精神科救急医療従事者との連携.精神経誌114(5):572-576, 2012
3)岩手県精神保健福祉センター:岩手県自殺予防情報センターニュースレターNo.52.2012
4)荒川区:荒川区自殺未遂者調査研究事業報告書.2012
5)山梨県精神保健福祉センター:自殺未遂者への対応 医療機関に搬送された自殺未遂者が地域生活に復帰していくために―支援者向け手引―.2012
6)森川将行,他:堺市「いのちの応援係」による警察署を介した自殺未遂者支援の実態と課題.堺市こころの健康センター研究紀要3:9-16, 2011
7)二宮貴至,他:搬送救急からみる自殺企図.日精協誌31(10):1050-1056, 2012
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