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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生78巻4号

2014年04月発行

特集 自殺・自死対策

若者の自殺予防のための支援のあり方

著者: 斎藤環1

所属機関: 1筑波大学医学医療系社会精神保健学

ページ範囲:P.269 - P.273

文献概要

はじめに

 わが国の自殺者数は,2012年には15年ぶりに3万人を割り27,858人となり,2013年には27,276人と緩やかな減少傾向にある1).しかしその一方で,若者の自殺が急速に深刻化していることは意外に知られていない.

 2012年版「自殺対策白書」においては,複数のデータがその深刻さを示唆している2).2013年版よりも若者に焦点化した内容であるため,本論では2012年版のデータに基づいて検討を進めたい.

 図1は,「平成10年の値を100とした年齢階級別の自殺死亡率の推移」である.どの年代よりも20代の自殺死亡率が高く,次いで30代,3番目が19歳以下となっている.また同白書によれば,15~39歳の各年代の死因トップが自殺となっている.若年層で死因トップが自殺となっているのは先進7か国で日本のみであり,死亡率も他国に比べて高い.

参考文献

1)内閣府自殺対策推進室:警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等.http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/pdf/saishin.pdf
2)内閣府:平成24年版自殺対策白書.2012
3)内閣府:自殺統計の分析.http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/pdf/gaiyou/pdf/p14_27.pdf
4)清水康之:視点・論点「“就活自殺”の背景に迫る」.http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/167020.html
5)斎藤環:若者文化と思春期.承認をめぐる病.日本評論社,2013
6)A.H. マズロー:人間性の心理学―モチベーションとパーソナリティ.産能大出版部,1987
7)末木新:自殺予防の基礎知識―多角的な視点から自殺を理解する.デザインエッグ,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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