文献詳細
連載 公衆衛生Up-To-Date・15
[動物衛生研究所発信・その1]
家畜のインフルエンザ
著者: 彦野弘一1 西藤岳彦1
所属機関: 1独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 インフルエンザ・プリオン病研究センター
ページ範囲:P.279 - P.282
文献概要
近年,発展途上国において畜産業が急激に成長し,家畜の飼養衛生環境の悪化や家畜衛生にかかわる社会資本の未整備などにより家畜感染症の増加をもたらし,人畜共通感染症として人に健康被害を引き起こすリスクを増大させている.現在,人畜共通感染症として重要視されている疾病の1つは,家禽および豚におけるA型インフルエンザウイルスの感染症,いわゆるインフルエンザである.
一般的に,A型インフルエンザウイルスは宿主特異性を持ち,家禽または豚から人への伝播は散発的に起きるに過ぎない.しかし,過去のインフルエンザのパンデミックは,動物由来のA型インフルエンザウイルスが人に直接伝播するか,人と動物由来のA型インフルエンザウイルスの遺伝子再集合体が人に伝播することにより起きている.近年では,H5N1亜型ウイルスやH7N9亜型ウイルスが家禽から人へ伝播し高い死亡率を示す事例が多発し,パンデミックにつながる可能性があるとして注視されている.
参考文献
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