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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生78巻5号

2014年05月発行

文献概要

特集 NCD(非感染性疾患)対策

イングランドのNCD対策―心血管疾患アウトカム戦略を中心に

著者: 松田亮三1

所属機関: 1立命館大学人間科学研究所・産業社会学部

ページ範囲:P.307 - P.311

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はじめに

 非感染性慢性疾患(non-communicable disease;NCD)対策にどのように取り組むかは,各国政府・公衆衛生機関が直面している課題である.本稿では,わが国での政策形成へのヒントとして,イギリス,特にイングランドの非感染性疾患対策の動向を検討したい.

 イングランドの公衆衛生体制は現在大きな変革期にあり,70年代から続いていた国民保健サービス(National Health Service;NHS)を基軸とする体制から,公衆衛生の統括機関としてイングランド公衆衛生庁(Public Health England)を配置し,その専門的助言・指揮のもとで地方自治体とNHSが協力して実施する体制に変わっている1)

 大規模な組織改革を伴うこの改革が順調に実施されるかどうかは,今後の展開をみていく必要がある.そこで本稿では,政策実施の場面ではなく,むしろ非感染性疾患,心血管疾患対策の戦略がどう構築されているかについて,特に2013年に保健省が公表した「心血管疾患アウトカム戦略(Cardiovascular Disease Outcomes Strategy)」2)について検討する.心血管疾患対策に焦点をあてるのは,それが政策的に注目を浴びているNHS健康チェック(NHS Health Check)の創設・展開とかかわっているからである.

参考文献

1)高鳥毛敏雄:イギリスにおける公衆衛生の歩みと新たな展開―パブリックヘルス・イングランド(特集 公衆衛生の原点を学ぶ―イギリスの挑戦).公衆衛生78(1):6-13, 2014
2)Department of Health:Cardiovascular Disease Outcomes Strategy:Improving Outcomes for People with or at Risk of Cardiovascular Disease. Department of Health, 2013
3)Secretary of State for Health:Healthy Lives, Healthy People:Our Strategy for Public Health in England(Cm 7985). Stationery Office, 2010
4)Department of Health:Living Well for Longer:A Call to Action to Reduce Avoidable Premature Mortality. Department of Health, 2013
5)Lewis I, et al:Report of the Children and Young People's Health Outcomes Forum. Children and Young People's Health Outcomes Forum, 2012
6)Department of Health:Putting Prevention First. Vascular Checks:Risk Assessment and Management. Department of Health, 2008
7)National Institute for Health and Care Excellence(NICE):Prevention of Cardiovascular Disease(NICE Public Health Guidance 25). NICE, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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