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文献概要
連載 いま,世界では!? 公衆衛生の新しい流れ
NCDsに関する国際機関などの動向
著者: 佐原康之1
所属機関: 1世界保健機関(WHO)本部
ページ範囲:P.348 - P.352
文献購入ページに移動「開発途上国におけるDouble Burden(二重負荷)」という課題が注目され始めてから既に20年以上が経つ.感染症をほぼ克服した後に非感染性疾患(non-communicable diseases;NCDs)の課題に直面した先進国と異なり,開発途上にある多くの国々では,感染症とNCDs両方の疾病負荷が社会に同時に重くのしかかる.さらに,NCDsは慢性疾患であることから,長期にわたり患者の医療を支えていく必要があり,NCDs対策は,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage;UHC.すべての人が適切な予防,治療,リハビリテーションなどの保健医療サービスを,支払い可能な費用で,必要な時に受けられる状態)などの保健システムの構築と併せて取り組んでいく必要がある.
特に近年,感染症よりもNCDsによる社会への負荷が重く認識されるようになってきており,貧困から抜け出し経済発展を遂げていこうとする各国において,NCDsへの本格的な取り組みは,喫緊の課題となっている.WHO(世界保健機関)は以前からこの問題に取り組んでいるが,近年では国連首脳外交のレベルで,NCDsについて議論されるようになっており,2015年のポストミレニアム開発目標(Millennium Development Goals;MDGs)計画策定を目前に,大きな政治的論点となりつつある.以下,国連総会やWHOなどでのNCDsを巡る動向について概説する.
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